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 在日コリアン3世は、政治が作り出す世の中の激流に翻弄されたり、見えない悪意に恐怖を覚えたりせざるを得ません。名前や国籍をどうするか、己のアイデンティティーをどうとらえるかなど、悩みや葛藤を乗り越える必要もあります。

「私は、在日として生まれてよかったです。日本が好きだし、違う視点から日本や世界を見ることもできる。やはり差別には敏感になるので『自分は差別をしない人になろう』と思えますしね」(Cさん)

 話を聞いた3人とも「日本は好きだし愛着もある」と言います。

 当たり前ですが大半の日本人は、在日コリアンを差別したいなんて思っていません。しかし、悪気なく失礼なことを言っている可能性はあります。3人の話などから、「言わないほうがよさそう」という五つのセリフをピックアップしました。もちろんお互いの関係性や話の流れで、意味合いは大きく変わります。

「日本人にしか見えないね」

→日本で生まれ育っているんだから、自然なことです。ホメ言葉のつもりで言える傲慢さに、言っている側は気付いていません。

「なぜ韓国の名前を使わないの?(or日本名を使えばいいのに)」

→どちらを使うかは、デリケートな問題。その人の選択に軽々しく疑問を呈するのは無神経です。日本名を使っている人に「ぼくは君を民族名で呼ぶ」と、謎の信念を押しつけてくるケースもあるとか。

「わー、在日の人とお友達になれて嬉しいな」

→自分は差別はしないという意思表示かもしれませんが、個人ではなく「在日」という属性で見られたら、本人はいい気はしません。

「最近は韓国も発展してきたよね」

→「日本のほうが進んでいる」という前提で話しているのは、失礼だし滑稽。いろんな部分で、とっくに追い抜かれています。

「ほら、韓国って昔はこういう人がいて、こういう歴史があったよね」

→韓国について勉強していたり韓国好きだったりする日本人が「当然、知ってるでしょ」という口調で言いがち。たぶん、知らないと言わせて優越感を得たいんですね。

「かなり前ですが、大学の先輩に『昔は在日差別がたいへんだったけど、今はよくなったよね』と言われたんです。あれは腹が立ったなあ。最初からグリーン車に乗っている人に、『キミもグリーン車に乗れてよかったね』と言われているみたいで。しかも、その人が何かしてくれたわけでもないし」(Bさん)

 無自覚な「上から目線」には、くれぐれも気を付けたいものです。

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