韓国メディア『中央日報(日本語版)』に驚くような記事が出ました。

傑作なことに自国の経済が危ないので「日本だって危ない」と言いたいようです。

「円相場、32年ぶりの安値に急落…『通貨危機、総体的崩壊に突き進んでいる』」というタイトルですが、まず一部を以下に引いてみます。


円相場がこの32年間で最安値に急落し日本の通貨危機が総体的崩壊に突き進んでいるという分析が出てきた。

(中略)

ニューヨーク外為市場では17日、円が対米ドルで下落傾向を継続し一時1ドル=149円台まで円安が進んだ。心理的抵抗線である150円に近づいた。

ハジキリアコス氏は「円が自由落下している。日本の通貨危機は雪だるま式に拡大し総体的な崩壊に突き進んでいる」と警告した。

⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「円相場、32年ぶりの安値に急落…『通貨危機、総体的崩壊に突き進んでいる』」
https://japanese.joins.com/JArticle/296760


こういうのを「ためにする記事」といいます。

日本を危機だと煽って貶めるために書いているのです。それで「韓国だけが危ないわけではない」として心の平静を得たいのでしょうか。全く無駄な努力というほかありません。

そんなことをしても現実が変わるわけではありません。また、このような努力で韓国経済のピンチが解消できるわけでもないので、止められた方がいいでしょう。

(本当にそんなことを言ったとしてですが)ハジキリアコスさんの「日本の通貨危機は雪だるま式に拡大し総体的な崩壊に突き進んでいる」は意味が分かりません。

円安は確かに急進していますが、それがいったいなんだというのでしょうか。円安が進行中で日本が現在通貨危機だとでも? とんでもない言説です。

そもそも「通貨危機」の意味を知った上でおっしゃっているのかが甚だ疑問です。

◆そもそも通貨危機ってナニ?

通貨危機とはなんでしょうか。他ならぬ『日本銀行』が以下のように説明してくれています。


通貨危機とは、債務返済能力への懸念等からある国の通貨の対外的価値が急激に下落することや、その結果経済活動に深刻な影響が及ぶ状況を指します。
(後略)

⇒参照・引用元:『日本銀行』公式サイト「通貨危機/アジア通貨危機」
https://www.boj.or.jp/announcements/education/oshiete/grossary/market/m05.htm/


「債務返済能力の懸念などからその国の通貨の価値が下落し、それが経済に甚大な被害を与えること、またその現象」を通貨危機というのです。

日本は現在「債務返済能力の懸念などからその国の通貨の価値が下落し」ているのでしょうか?

断じて「NO」です。

そもそも今回のドル高は、アメリカ合衆国がドルの流動性を極端に絞っていることが原因です。基本、為替レートは通貨量の比で決まりますので、ドルの流動性が絞られれば、ドルの価値が上がって相対的に他の通貨の価値が下がるのは当たり前です。

合衆国が政策金利をかつてない勢いで上げていることが、ドル強に拍車をかけています。お金は増える方に集まりますから、みんながドルに換えようとします。これがドル高を勢いづかせています。

ただそれだけのことです。

日本は脱デフレを行わねばならず、そのため流動性を絞っていません。また、合衆国のように8%超えなどというバカげたインフレに直面してもいません。ですから金利を上げていません。

合衆国が必死になって流動性を絞り、日本が流動性を絞っていないので通貨量の比は拡大する方向です。ですから、日本円がどんどん安くなるのも至極当然。

「債務返済能力への懸念から通貨安が進行している」などという状況では全くないのです。なぜ、日本が通貨危機なのでしょうか。

◆韓国こそ危ないんだってば!

また、日本にはそもそも対外債務の問題もありません。日本は31年連続で世界最大の純債権国です。

つまり、負債よりも資産が圧倒的に多く、外国に取り立てられるよりも、外国からお金を取り立てる金額の方が遥かに大きいのです。

具体的な金額をいえば、2021年末時点で「日本の対外純資産は過去最大の411兆円」あります。

日本のどこに対外債務の返済不安があるのでしょうか。もう何度だっていいますが、世界最大の債権国をなめるなよ、というところです。

【続く】

(吉田ハンチング@dcp)
https://money1.jp/archives/91675