[ソウル 31日 ロイター] - 韓国ソウルの繁華街で150人超が死亡した雑踏事故の影響で国内各地の秋の祭りやKポップコンサートが延期になり、服喪ムードの国民も集まる予定を控えるなどし、既に減速していた経済成長にさらに下押し圧力がかかる恐れが出ている。

10月30日に予定され約4万人の集客を見込んでいたKポップコンサート「釜山ワン・アジア・フェスティバル」は中止。秋祭りやハロウィーンを機に企画されていた地域イベントも、取りやめを呼びかけた自治体が多数に上った。大学も季節のイベントを中止し、韓国版「ブラック・フライデー」とも言うべき恒例の2週間商戦の開始イベントもなくなった。

釜山で11月5日に予定されていた花火大会も無期限延期。三大小売りの新世界百貨店とロッテショッピングと現代百貨店もハロウィーンの販促イベントを取りやめた。済州島も3─5日予定のウオーキング大会を中止。韓国プロ野球リーグと韓国バレーボール団体は優勝決定戦シリーズでのチアリーダー登場を自粛すると発表した。

閣僚は企業のイベント中止や政府職員の私的な集まりの自粛を呼びかけ、学校の遠足も見合わせになっている。

尹錫悦大統領が5日までの国の服喪を宣言したこともあるが、アナリストらはこの国中のムード停滞がすぐには薄れないかもしれないと懸念している。約300人が犠牲になった2014年の旅客船セウォル号沈没事故の時と同様、経済への影響が長引く可能性があるという。

HIインベストメント・アンド・セキュリティーズのエコノミスト、Park Sang-hyun氏は「ちょうど誰もが利上げを予想し、韓国の消費者心理が悪化していたタイミングだった」と指摘し、消費がさらに落ち込むとみる。消費者心理への影響は、今の状況からの立ち直りまでにどれぐらい長くかかるかによるとの考えを示した。

韓国の経済成長率は7─9月に既に、輸出鈍化や通貨ウォン安が響いて減速。31日に発表された9月の景気先行指数は3か月連続で低下し、2020年8月以来の低水準になっていた。

11/1(火) 14:00配信
ロイター
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