中国は2日、新型コロナウイルス対策としてフォックスコン・テクノロジー・グループが河南省鄭州市に設けている主要工場周辺の地域を対象にロックダウン(都市封鎖)に踏み切った。世界最大級の「iPhone」工場で物品の出入りが大きく抑制される見込みだ。

 地元政府がソーシャルメディアのウィーチャット(微信)アカウントに掲載した声明で、2日正午(日本時間午後1時)からロックダウンを始め、9日まで続けることを明らかにした。医療や他の必要不可欠な理由を除いて人々の外出や車両の通行は控えるよう命じた。年末商戦の需要期を控え、生産強化に必要な追加の人員や部品の供給が妨げられる恐れがある。

 突然発表された今回の措置はコロナを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を反映しており、フォックスコンの主な事業拠点にとって新たな支障となる公算が大きい。コロナ感染で約20万人のスタッフの一部が隔離を余儀なくされたほか、徒歩で工場から脱出する従業員もいた。

 鄭州市の11月1日のコロナ新規感染は359人と、前日から3倍余りに増えていた。

 フォックスコンは発表文で、外部との接触を制限する「バブル方式」で鄭州工場の操業を続けると説明したが、ロックダウン期間中に物品の出入りをどのように管理するのかとの疑問には答えなかった。アップルの担当者にコメントを求めたが、すぐには返答がなかった。

 世界の電子機器需要が異例の伸び悩みとなる中で「iPhone14」を発売したアップルにとって、今回のロックダウンは重大なタイミングで訪れた。カウンターポイントのシニアアナリスト、アイバン・ラム氏によると、フォックスコンの鄭州工場はiPhone14シリーズ生産能力の80%を占めるほか、iPhone14プロの生産能力の85%超は同工場に集中している。

 鄭州工場は操業を当面続けられる程度の部品は確保していたとも考えられるため、あとはロックダウンの期間次第になってくる。中国では封鎖が長引くことがある。

Bloomberg 2022年11月2日 13:57 JST
更新日時 2022年11月2日 18:02 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-11-02/RKPEWUT0G1L001