中国が、日本を含む30カ国に「非公式警察署」の拠点を設置していたとされる問題で、米国や英国、ドイツ、スペイン、オランダなどは、主権侵害の疑いで実態解明の捜査・調査を本格化させた。一方、岸田文雄政権は拠点の存在について肯定も否定もせず、クギを刺すような発信もない。タイの首都バンコクでの日中首脳会談を受け、「親中派」である林芳正外相の訪中が浮上するなか、外国情報機関の〝暗躍のリスク〟を放置するつもりなのか。安全保障やインテリジェンスの視点から、危機感のなさに警鐘を鳴らす声が挙がっている。

「国際的に、情報当局などが他国へ浸透して活動するのは当たり前のことだ。日本の現状は『平和ボケ』そのもので、諜報に対する無頓着さに改めて驚いている。世界の厳しい現実から目をそらしてはならない」

元警察官僚で、自民党の平沢勝栄元復興相は、夕刊フジの取材にこう語った。官僚時代には、危機管理、安全保障のパイオニアで、初代内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏に部下として仕えたこともある。過去の事例を次のように指摘した。

「北朝鮮工作員が日本に侵入して、横田めぐみさん(58)=拉致当時(13)=など、何の罪もない日本人を連れ去った拉致事件は象徴的だ。同じ西側陣営のはずの韓国が、日本で『金大中(キム・デジュン)事件』を起こした事例もある」

同事件は1973年、後の韓国大統領となる金大中氏が、東京都千代田区のホテルで拉致された事件だ。当時の韓国中央情報部(KCIA)の工作活動で、金氏は船で韓国に連れ去られた。事件発覚後、日本政府は主権侵害への謝罪と日本当局による調査を要求したが、いまだに謝罪はない。

平沢氏は「笑顔で握手する外交の裏では、血みどろで問答無用の『情報戦』『諜報戦』が繰り広げられている。中国当局による日本の政官財界への浸透や工作は今に始まったことではない。今回の『非公式警察署』も全容解明に取り組み、警告を発するべきだ」と語気を強める。

中国の「非公式警察署」は、スペインの非政府組織(NGO)「セーフガード・ディフェンダーズ」の報告書で明らかになった。日本など30カ国の70カ所に拠点が設置されているというもので、各国の当局が捜査・調査に乗り出している。

ニューヨークに拠点が設置されていると指摘された米国でも、懸念が高まっている。

FBI(米連邦捜査局)のクリストファー・レイ長官は17日、議会上院委員会で、拠点の存在を把握していると明かした。さらに、外交上の手続きなどをせず、拠点を設置するのは「言語道断」「主権侵害で司法や法執行の協力プロセスを回避している」と指弾した。

一方、日本の反応は乏しい。

以下ソースから
https://www.zakzak.co.jp/article/20221121-ZIXBSG5QORM5ZA5QHDEON6P6P4/