韓国政府は13日、日本政府が11月末にユネスコ(国連教育科学文化機関)に提出した世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」の報告書について「遺憾」の意を表明した。日本側が約束した措置が「忠実に履行されていない」と批判した。

 長崎県の端島炭坑(軍艦島)などからなる「産業革命遺産」をめぐっては、世界遺産委員会が昨年、朝鮮半島などから連行されて労働を強いられた人々についての日本の説明が不十分との決議を採択した。日本政府に対して今年12月1日までに報告書を出し、今後の対応を説明するよう求めていた。

 「産業革命遺産」は2015年に世界文化遺産に登録された。韓国政府からの「強制労働」の主張を受け、日本側は登録が決まった世界遺産委で「犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む」と表明。ただ、20年に東京都内に開設した施設で朝鮮半島出身の徴用工への差別は「聞いたことがない」との証言を展示し、韓国側の抗議を受けた。

 日本政府は新たに提出した報告書でも、約束を「誠実に履行している」との姿勢だ。韓国政府は13日に発表した外交省報道官名の論評で、履行を「再度求める」とした。(ソウル=稲田清英)

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