【大田聯合ニュース】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像「観世音菩薩坐像」(同県指定有形文化財)の所有権を主張する韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)が仏像を保管する韓国政府に引き渡しを求めた訴訟の控訴審が14日、大田高裁で結審した。原告の浮石寺側は最終弁論で、長きにわたる裁判で日本側も同仏像を「瑞山浮石寺金銅観音菩薩坐像」と呼ぶことを認めたとし、所有権がどこにあるかは「名称の中にすでに答えがある」と主張した。

 また、原告側は1352年から82年にかけ浮石寺のある地域で日本の倭寇(わこう)が5回の略奪を行い、その際にこの仏像が奪われたのは学会でも認められた歴史的な事実と主張した。

 観音寺が1953年に法人化した時点から盗難事件が発生した2012年10月までの約60年間仏像を占有していたため、一定期間が経過すれば占有者の所有が認められる「取得時効」が成立するとの主張に対しては、略奪されたものであることを知りながら仏像を無断で占有していたのであれば大法院(最高裁)の判例により取得時効は成立しないと反論した。

 判決公判は来年2月1日に開かれる。

 原告の浮石寺は韓国人の窃盗団が2012年に観音寺から盗んで韓国に持ち込んだこの仏像について、数百年前に日本の倭寇に略奪されたものだと主張している。17年1月の一審判決では、仏像の中から見つかった記録などを根拠に「浮石寺の所有と十分に推定できる」として同寺への引き渡しが命じられた。

 1951年に仏像から見つかった像内納入品の中には、1330年ごろに瑞州(瑞山の高麗時代の名称)にある寺に奉安するため制作されたと読み取れる内容が記録されていたが、韓国政府側の検察は、記録が実際に高麗時代末期に作成されたことを立証する資料がなく、記録の信ぴょう性は高いとはみなせないなどと主張し、控訴した。

12/14(水) 19:18配信
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