12/16(金) 8:49配信 ハンギョレ新聞

 国際経済諮問機関である英国のケンブリッジ・エコノメトリクスがエネルギー価格の急騰にともなう韓国電力の財務危機を再生エネルギーの拡大で解決しなければならないと助言する報告書を出した。

 同機関は15日に発表した「化石燃料価格の変動と韓国のインフレ」報告書で、「韓国は現在設置されている再生可能エネルギー容量で競争国にはるかに遅れており、新規容量の建設計画も保守的であるため、化石燃料価格の変動で受ける衝撃がさらに大きい」とし、「再生可能エネルギーを拡大していけば、このような変動性に対する露出リスクを大幅に減らすことができる」と明らかにした。

 同機関は、「運送・産業・暖房部門のエネルギー効率を高め、電気化しながら再生可能エネルギーの普及を増やすことが、韓国電力のみならず韓国経済全体の負担を減らし、エネルギー安保を強化するうえでも役立つだろう」と指摘した。

 現在、韓国電力は急騰した発電燃料費を電気料金に反映できず、原価以下で電力を供給し、年末までに30兆ウォン(約3兆円)台の営業損失を記録すると予想されている。韓国電力はこのような営業損失による資金難を、主に社債を発行し調達した資金で賄っている。

 しかし、今年の決算が反映される来年3月以降は、社債発行額が資本金と積立金を合わせた金額の2倍を超えないよう制限した韓国電力公社法(韓電法)によって、こうした資金調達の道も閉ざされる。そのため、政界では韓電法を改正し、社債発行限度を最大6倍まで増やす案をめぐって議論が起きている。

 報告書は「ガソリン、ガス、軽油の価格上昇が今年の韓国のインフレに大きな影響を及ぼし、年間物価上昇率の4分の1を占めたが、電力の小売価格には料金規制によりエネルギー価格の上昇が反映されていない」とし「これにともなう韓国電力の莫大な財政損失は結局国家が抱え込むことになりかねない」と指摘した。

 報告書は、韓国を国際化石燃料価格の変動に対し脆弱にしている主な構造的原因として、電力市場の構造を挙げた。燃料費や温室効果ガスの排出と関係なく、発電会社に固定された原価を保証しながら電力の小売を韓国電力が独占する構造が、輸入化石燃料に対する高い依存度を維持させているという説明だ。

 ケンブリッジ・エコノメトリクスは、韓国で化石燃料の輸入に代わる再生可能エネルギーの普及速度が先進国より遅い主な理由を政府の政策にあるとした。報告書は「過重な許認可手続きが韓国の再生可能エネルギーのライフサイクル費用の約23%を占める」とし「これにより韓国の高い新規再生可能エネルギープロジェクトの費用が、相当な規制負担と複雑な手続きに起因することを示唆する」と明らかにした。政府が複雑な許認可手続きと行政要件を要求し、事業によるリスクの大部分を民間に負担させ、再生可能エネルギーの普及費用を高くしているということだ。

 報告書の著者であるカール・ハイメマンは「再生エネルギーの投資障壁をなくし韓国電力の独占構造を変えることが化石燃料価格の変動に対する韓電の脆弱性を補完する正しい政策方案であり、韓国電力のみならず韓国電力の顧客と韓国経済全体に必要だ」として「これは燃料費が必要ない風力や太陽エネルギーの拡大させられる」と話した。

キム・ジョンス先任記者

https://news.yahoo.co.jp/articles/30887d1734afc3f6f84350f419b0a0d03a5c1369