パナソニックは炊飯器の国内生産を終了する。兵庫県加東市の工場で国内向け製品の生産を続けてきたが、2023年6月をメドに全モデルの生産を中国・杭州の工場に移管する。炊飯器は部材メーカーの多くが中国に集まっており「生産効率を上げ、収益力を高める」(同社)としている。

加東工場は1991年の開設で、近年では上位モデルを中心に炊飯器の生産を続けてきた。段階的に中国に生産を移し、下位モデルを生産するインド工場との2拠点体制にする。加東工場の敷地は再生樹脂の生産への転用を検討する。約100人いる正社員の多くは他事業に配置転換する方針だ。神戸市の研究開発拠点は残す。

パナソニックは56年から炊飯器の国内生産を始め、88年にはIH炊飯器を業界で初めて投入するなど市場をけん引してきた。足元のシェアは象印マホービンやタイガー魔法瓶(大阪府門真市)に次ぐ3位とみられる。少子高齢化や米の消費量の減少を背景に、国内の炊飯器市場は微減が続いている。日本電機工業会によると2021年度の炊飯器の出荷台数は約500万台で、5年で13%減少した。

2022年12月27日 11:45
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF270W10X21C22A2000000/