「台湾の救援チームががれきの中からトルコ人女性を救出した」。9日朝、台湾のテレビ各局がそろって速報したニュースだ。

トルコ南部を震源とする大地震の発生を受け、台湾当局はすぐに消防隊員を中心に40人規模の救援チームを現地に派遣。6日夜、桃園国際空港で行われた出発式で林右昌内政部長(内相に相当)は、「1999年の台湾中部地震のとき、トルコの救援チームはいちはやく駆けつけてくれた。今度は台湾が助ける番だ」と隊員たちを激励した。

翌7日、台湾はさらに第2陣として、医療関係者を含む90人をトルコに派遣した。救援に使う大きな器具を運ぶため、チャーター便でトルコに向かった。だが、外交関係のない複数の国の上空を通過しなければならず、出発前に許可を取るのに苦労したと、地元メディアが伝えている。

中国による圧力でほとんどの国際組織から排除されている台湾。蔡英文政権は近年、人道支援や災害救助などに力を入れ、国際社会における台湾の存在感を高めようとしている。

今回、台湾当局は200万ドル(約2億6千万円)を援助するとも発表した。ある当局関係者は「中国の脅威にさらされている台湾は、いつも国際社会に助けてもらう立場。少しでも恩返しをしたい」と話している。(矢板明夫)

2023/2/10 07:00
https://www.sankei.com/article/20230210-FRXJJWY52FN33M4GKY6Y4Q2BP4/