0001ばーど ★
2023/03/07(火) 12:28:35.14ID:4hIF4hHx4年以上にわたり、日本と韓国の正常な外交関係を阻んできた徴用工問題が政治決着した。裁判で敗訴した日本企業の賠償分を、韓国側の財団が肩代わりする解決策を、韓国政府がきのう発表した。
過去の植民地支配をめぐる認識の差が対立の根にある。だが解決まで時間を費やしたのは、相互理解よりも不信をあおってきた両国の政治に責任がある。
■尹政権の重い決断
傷ついた市民感情が癒えるには時間がかかるだろう。だからこそ歴史を謙虚に見つめ、対話と協力こそが互いの利益にかなうことを示し続ける政治の努力が、これからも欠かせない。
日本は戦時中、労働力不足を補うため、朝鮮半島から多くの人々を動員した。当事者らの訴えで、韓国大法院(最高裁)は2018年、不法な植民地支配下での反人道的な違法行為だったとして、日本企業に賠償を命じる判決を確定させた。
日本政府は、1965年の日韓請求権協定で賠償問題は法的に解決済みとの立場をとり、当時の文在寅(ムンジェイン)政権に善処を求めたが、交渉の土台となる解決案は示されなかった。
差し押さえられた日本企業の資産の現金化も迫る中、昨年発足した尹錫悦(ユンソンニョル)政権が韓国の財団を活用する方策を打ち出した。司法判断を尊重しつつ、決定的な関係悪化の回避を試みた重い決断を支持したい。
日韓の戦後を振り返れば、国交正常化の際に植民地支配の法的位置づけで合意に至らず、1910年の日韓併合条約などを「もはや無効」とあいまいにした経緯がある。あえて玉虫色にすることで互恵の歩みを深め、ともに成長を遂げた道程を、改めて思い起こしたい。
財団への被告企業の参加や謝罪表明をかたくなに拒んできた日本側も、最後にはわずかに歩み寄った。日韓の経済団体は今後、次世代を支援する事業に着手するとみられる。日本企業が自由意思で財団に寄付すれば、反発がくすぶる韓国社会の受け止めも和らぐことだろう。
一方、岸田首相はきのう、過去への反省や謝罪を表明した歴代政権の談話を「全体として継承している」と語った。談話の趣旨が真に守られるのか、今後の言動を注視したい。
日本政府は大法院判決を国際法違反と批判してきたが、人権の普遍性を重視する潮流は強まっている。徴用工らの被害の事実は、日本の裁判所も認めていることを忘れてはなるまい。
■禍根残す内向き政治
さらに問うべきは、事態をこじらせた政治の責任だ。
大法院判決後も解決案を示さない韓国側にいらだった安倍政権は、韓国への輸出規制強化に乗り出した。表向きは徴用工問題との関連を否定したが、報復措置にほかならない。日本製品の不買運動が起き、日韓企業に多大な損失を負わせた。
根本にある懸案が政治決着をみたいま、日本政府は速やかに措置を撤回すべきだ。
安倍氏が2015年に出した戦後70年談話も、過去への反省を示した村山談話や小泉談話を「引き継ぐ」としたものの、当の日本が植民地支配の加害者であるという視点が希薄で、韓国側の不信感は深かった。
一方、韓国の文・前政権の独善的な姿勢にも大きな問題があった。前任の朴槿恵(パククネ)政権が日本と結んだ慰安婦合意を、国内の保守勢力批判に政治利用し、形骸化させた。慰安婦問題に続き、徴用工問題でも「被害者中心主義」を唱え、原告らに寄り添う姿勢を強調したが、支持基盤の反発を恐れて解決に汗を流す姿勢は見せなかった。
「対抗措置」の応酬が示したのは、いったん政治が自制を忘れて強硬策にカジを切れば、民意も引きずられ、修復がより困難になることだ。反省し、今後の外交の教訓とすべきだ。
■相互信頼につなげよ
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朝日新聞 2023年3月7日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/DA3S15574286.html?iref=pc_ss_date_article