日本で文化庁が京都に移転し話題になっているが、中央省庁の地方移転、分散は韓国の方が進んでいる。
すでに経済官庁はソウルにはなく韓国中部の行政都市・世宗(セジョン)市に移転しているし、公社・公団なども地方に続々、移っている。

韓国は、歴史的に日本の「藩」に相当する独自の地方が存在しなかったこともあり、きわめて中央集権的で、何でも首都に集中している。
そこでソウル首都圏の過密解消や地方活性化の掛け声の下、省庁の地方移転を進めてきたのだが効果には疑問も出ている。

知り合いの建築設計士がぼやいていたが、公共事業関連で日参を余儀なくされている「土地住宅公社」は韓国南端の晋州(チンジュ)市に移転しているため出かけるのが大変とか。
「観光公社」も江原道(カンウォンド)・原州(ウォンジュ)市に移っているが「観光国際化時代にソウルを離れてはまともな仕事はできない」と知人は不満だ。
世宗市の経済官庁の役人たちは家族をソウルに置いた単身赴任や週末往来が多いとか。子供の教育問題のためだが、そこで今度は国立ソウル大の地方移転案も持ち上がっている。

文化庁の京都移転の話に戻れば、日本通の韓国人が面白い感想を述べていた。
「皇居がサムライの江戸城にあるのはおかしい。これも本来の京都に戻すべきではないでしょうか」と。一理ある?(黒田勝弘)

産経新聞 2023/4/1 07:00
https://www.sankei.com/article/20230401-INYGP7LDRJL2XENRLZOAEPDR3I/