サムスン電子は今年1-3月期の営業利益が前年同期比で96%減の6000億ウォン(約600億円)を記録した。事業ごとの決算は公表されなかったが、半導体部門で約4兆ウォン(約4000億円)の損失が出たことが主な原因とされている。サムスン電子の営業利益が1兆ウォン(約1000億円)を下回ったのは2009年の1-3月期以来14年ぶりだ。韓国を代表する企業がリーマンショック当時と同じレベルの衝撃に直面しているのだ。

 今月下旬に決算発表を予定しているSKハイニックスについても市場関係者は「4兆ウォン(約4000億円)前後の損失」を予想している。半導体の売り上げがほぼ全体を占めるため、これがそのまま会社全体の赤字につながる見通しだ。これまで持ちこたえてきたサムスン電子もSKハイニックスに続き減産を宣言した。半導体景気の低迷が続くため、ここ1年に40%下落したDRAM価格を下支えするための決断だ。しかし世界の半導体需要の回復は4-6月期には望むべくもなく、下半期の状況を見守るしかない状況だ。韓国で製造業全体の10%、輸出の20%を占める半導体の1位と2位のメーカーがここ10年以上経験したことのなかった危機に直面しているのだ。

 巨額の赤字を出した韓国の半導体業界は、米中の技術開発競争のど真ん中で地政学的なリスクにも直面している。サムスン電子とSKハイニックスはNANDフラッシュやDRAMの生産全体の40-50%を中国工場が占めており、その投資額は33兆-35兆ウォン(約3兆3000億-3兆5000億円)に達する。米国は先日のCHIPSプラス法指針に基づき、一定の条件で10年にわたり中国国内で安定して工場を稼働できるようにした。しかし米国による中国抑え込み政策が終わらない限り、韓国半導体メーカーの中長期的な「中国リスク」は今後も避けられないだろう。

 韓国経済は国内外のどこにも頼るべきところがない状況に直面している。今年1-2月の経常収支は11年ぶりに2カ月連続の赤字を記録し、輸出は6カ月連続でマイナスとなった。景気の後退と資産市場の不振で今年は4年ぶりに税収が減少し、国の負債は1100兆ウォン(約110兆円)を上回るのが確実視されている。物価は高止まりしているが、家計負債と金融不安でこれ以上金利を上げるのも難しい。企業が置かれた状況も厳しい。半導体はもちろん電気やエレクトロニクス、鉄鋼、石油化学、精油など主力企業も1-3月期の営業利益が大幅に減少あるいは赤字を記録しそうだ。危機に直面した国の経済を支えてきた韓国を代表する企業さえ揺らいでいる。こんな状況で重大災害処罰法など反企業的な政策で追い打ちをかけても良いのか。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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