ー前略ー
 中国資本が住宅市場に参入することについては、賛否両論ある。経済の循環を考えれば悪い話ではないが、日本の同業者の間では順法精神の低さによって起こるトラブルがささやかれている。

 「中国系の不動産業者は、建築基準法では再建築不可などの難しい土地建物を売り付け、客から『聞いていなかった』『こんなはずじゃなかった』といったクレームが入ってくる」といった話や、
「住宅事業部を立ち上げた中国系企業から宅建免許を貸してほしいと迫られる」といった話もある。

 後者はいわゆる「名義貸し」行為だ。これは宅建業法違反となるため、日本のまともな不動産会社が行うことはないが、「上に政策あれば下に対策あり」なのか、
中国人経営者の中には法の網をかいくぐる脱法行為を何とも思わない者もいる。

● 日本の中で「孤立」する中国人マーケット

 日本で中国人が住宅を購入する場合、「そこに長年住み続ける」という目的はほとんどないようだ。前出の大川さんによると「たいていのケースは購入後、数年で転売します」という。だが、問題はこの先だ。

 「転売しようとする物件は、客付け(不動産売買契約を締結する客を見つける)のため業者用の中古物件サイト(レインズ)に情報登録されるのですが、
問い合わせをしようと元付け業者(客から不動産売買の依頼を直接受けている仲介業者)に連絡しても、担当者が日本語を話せず、仕事にならないのです」(同)

 ここからわかるのは、中国系不動産業者が相手にしているのはほぼ中国人客だということだ。大川さんはさらにこう語る。

 「ある投資物件がオーナーチェンジの条件でレインズに載りました。ところが、売主であり貸主でもある中国人オーナーは、賃貸借契約書を提示できないと言うのです。
聞けば、借主も中国人であり、口約束で貸しているが滞納は一度もしていないので大丈夫だ、と。ちなみに、この物件の元付けも中国系業者でした。表に出す物件情報もいいかげんなところがあります」

 大川さんは「中国人が関わる物件は日本人客向けに販売や賃借をしにくく、中国人の仲間内での転売や転貸となる傾向が強いです。
放っておけば、日本の不動産市場の中に孤立したマーケットができていくのではないでしょうか」と懸念する。

ー中略-
 一方、「かつて日本の不動産業界はとてもドメスティックな業界でした」と語るのは、大手不動産企業を退職した松木大輔さん(仮名・60代)だ。
「バブル期に日本の不動産企業は海外不動産に投資をしたものですが、まさか外資が日本の不動産市場にこれほど目を向ける時代になるとは」と驚きを隠さない。

 こうした事情もあり、日本の国も業界も外資による投資への対応は後手に回りがちだ。
しかし、他の先進国では、外資や外国人が簡単には不動産市場にアクセスできない仕組みがすでに構築されている。

 例えば、ドイツでは外資が不動産を取得する場合は事前の登録が要求される。
オーストラリアでは外国人による不動産購入に規制を設けており、 FIRB (外国投資審査委員会)による承認が必要となる。
カナダでは今年から、外国人による住宅購入が2年間禁止となった。詳細は稿を改めお伝えするが、逆に言えば日本では外国人が簡単に住宅を購入できる状態にある。

 不動産の中でも住宅への投資は、オフィスビルや商業施設とは異なり、人が住む家と密接に関連する。そのため、「経済が回ればいいじゃないか」という発想だけでは済まされない。
中国でも住宅市場に仕掛けられたマネーゲームで国民がひどい目に遭った。国民生活保護の観点から、日本においても、外資による投資への審査や適正取引の監視のためのメカニズム強化は急務だろう。 

姫田小夏

全文はソースから

4/14(金) 6:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/9281117c7c187173c74abad666816fea94aa5e73