「大統領と力を合わせ、新しい時代を切り開きたい」

 7日に行われた日韓首脳会談について、8日、こう振り返った岸田文雄首相(65)。同日付の韓国・東亜日報は社説で、
岸田首相が尹錫悦大統領に対し、元徴用工問題をめぐり「心が痛む」と発言したことを「一歩進んだ」と評価。中央日報も「従来の立場より一歩進んだ」と指摘した一方、
革新系の京郷新聞は「文書ではなく、個人的な心情(の発言)だった点に失望した」と非難する記事を掲載した。

 広島で今月開かれる「G7サミット」(先進7カ国首脳会議)をにらみ、
こう着状態にあった日韓関係の緊張緩和に動き始めた岸田首相だが、なぜかネット上では批判的な意見が少なくない。

《やはり日本は、宏池会は、岸田はちょろい!と韓国は必ず考えます》

《岸田さんは何もわかっていない。外相時代に韓国に何度も煮え湯を呑まされたのに》

《こうした弱腰姿勢が韓国をモンスタークレーマーに育てたのだ》

 どうやら日本の保守系の目には、日韓関係が改善の方向に行くことは“屈辱的”と映るらしい。
子どもケンカじゃあるまいし、こぶしを振り上げるばかりが外交ではない。

 よく分からないのは、保守系が<モンスタークレーマー>と訴える韓国が発祥の地である旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と
自民党の癒着問題では、いまだに静観したままなことだ。

■韓国をモンスタークレーマーに育てたのは自民党議員?

 1978年6月1日の衆院地方行政委員会で、野党議員が紹介した旧統一教会の教義である「原理講論」や関連書籍には、
<有史以来、全世界にわたって発達してきた宗教と科学、即ち、精神文明と物質文明とは韓国を中心>
<男性韓国が、真理の国ということができるとすれば、女性日本は産業の国>
<日本は、二十年間の驚異的な産業の発展を有している。この産業・経済を男性韓国へ結納として収める歴史的必然性がある>
との記述があった。

 日本は韓国に尽くして当然──という、まさに屈辱的な教義を持つ旧統一教会の姿勢に「賛意」を示し、その信者の力を借りて国政、地方選挙を戦ってきた自民党議員の面々。
どう考えても、「日本はちょろい」と思われるだろう。それなのに、なぜ、保守系が問題視しないのか。

《愛国心から嫌韓、反韓を叫んでいるなら、その怒りは別のところに向けた方がいい》

《韓国をモンスタークレーマーに育てたのは自民党議員じゃないの?》

 SNS上で冷ややかな意見が出るのも無理はない。

公開日:2023/05/08 16:10 更新日:2023/05/08 16:10
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/322631