産経新聞 2023/5/30 14:50

女性研究者4人が、慰安婦問題やジェンダーに関する研究について事実無根の非難をされ、名誉を傷つけられたとして、
自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に計1100万円の慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。
清水響裁判長は研究者側の請求を棄却した1審京都地裁判決を取り消し、杉田氏に33万円の賠償を命じた。

提訴したのは、大阪大の牟田(むた)和恵名誉教授ら4人で、清水裁判長は牟田氏の請求の一部を認めた一方、ほかの3人の請求は棄却した。

1審判決によると、牟田氏らの研究グループは平成26~29年度、
日本学術振興会の科学研究費助成を受けて慰安婦問題やジェンダーなどに関する研究を実施。
杉田氏は30年3~7月、自身のツイッターやインターネットテレビなどで研究について「捏造(ねつぞう)はダメ」「国益を損なう」などと発言した。

昨年5月の1審京都地裁判決は、杉田氏の発言は「批判的な意見や論評」と判断。
「感情的な表現ではあるが、表現方法として相当な範囲を逸脱したとまではいえない」として原告側の請求を退けた。

原告側は判決を不服として控訴し、「科研費制度への意見ではなく、合理性を欠く」と主張。
一方、杉田氏側は「国会議員の政治活動として科研費制度に意見を述べたに過ぎない」と反論していた。

https://www.sankei.com/article/20230530-KFKR5WBAYFPW5JI22BXRFN3C4Q/