仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)は19日、「日本の原発処理水海洋放出の『最大の難関』はどこにあるのか」との記事を掲載した。

記事は、国際原子力機関(IAEA)が今月4日、福島第一原子力発電所の処理水をめぐり「放出に対する日本の取り組みは国際的な安全基準に合致している」との報告書を発表したことを挙げ、「米国、韓国、EU、オーストラリア、台湾などの政府が肯定的に評価し、日本の処理水海洋放出に反対しない姿勢を示した。さらには、近隣のロシアでさえ明確な反対の意思は示していない」と伝えた。

その上で、「現在最も強く反対しているのは中国と北朝鮮。そして、一部の太平洋の島国と沿岸の国は懸念を表明している」とする一方、「こうした声はいずれも日本による処理水放出を妨げるものにはならない」と指摘。「なぜなら、IAEAはすでに処理水が国際的な安全基準に合致することを確認しているからだ。しかも、原発を有している国は皆、放射性元素を含む冷却水を海に排出している」とした。

記事は、「日本の処理水海洋放出における最大の難関は日本国内にある」と指摘。ALPS(多核種除去設備)処理水を保管できるタンクの容量が限界に近付く中、日本政府は2021年4月13日に海洋放出する方針を正式に打ち出したものの、2015年には政府と東京電力が福島県漁業協同組合連合会に「関係者の理解を得ない状況ではいかなる処分もしない」と約束していたこと、全国漁業協同組合連合会(全漁連)も2020年6月の総会で「断固反対」の決議を全会一致で採択したことを紹介した。

また、今年6月28日の記者会見で松野博一官房長官が2015年の約束を順守するとの考えを示したこと、今月11日に西村康稔経済産業相が福島県漁業協同組合連合会を訪れ理解を求めるも野崎哲会長が反対の立場を固持したこと、14日には西村氏が全漁連を訪れ理解を求めるも坂本雅信会長はやはり反対の立場を崩さなかったことを伝えた。

記事は、「漁民たちはIAEAが処理水の安全性を保証したことは理解しているが、彼らが懸念しているのは顧客の認識、日本で言われるところの『風評被害』だ」と説明。「原発事故後、福島県産の水産品や食品は長期にわたり、たとえ検査をパスしていたとしても売れなかった。現在は状況が改善されてきたが、処理水が放出されれば“悪夢の再来”となることを地元民は懸念している」とし、共同通信社が14〜16日に実施した世論調査では、処理水放出による風評被害について「大きな被害が起きる」と「ある程度起きる」が合わせて87.4%に達したことを伝えている。(翻訳・編集/北田)

Record China 2023年7月21日(金) 6時0分
https://www.recordchina.co.jp/b917553-s25-c100-d0052.html