憤りを感じる記事を読んだ。産経新聞に23日掲載された、
「沖縄・石垣市の地元紙社説『自衛隊員は人口に含めないで…』 抗議受け『おわび』」というタイトルの記事だ。

陸上自衛隊の駐屯地開設などで、沖縄県石垣市の人口が5万人に達したが、地元紙の八重山毎日新聞が19日付で、
「『自衛隊のおかげで5万人に達した』などと言われたら素直に喜べないのが一般市民の受け止めではないか」
「自衛隊員、家族は(人口5万人に)含めずに公表すべきではないか」という社説を掲載したというのだ。

さすがに、民間の八重山防衛協会が
「自衛隊員や家族を市民と認めないと言っているばかりか、職業差別を助長させかねない論調」だと強く抗議し、
同紙は20日付1面で「自衛隊員、その家族の皆さまの人権に対する配慮を欠いた表現があったことを深くおわびいたします」と謝罪したという。

憲法第21条は「言論の自由」「表現の自由」を保障しているが、今回の社説は度を越えている。
自衛官は入隊する際、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」と、
服務の宣誓を行う。そんな自衛官と家族を差別するような内容であり、人権を理解しているのか疑問に感じる。

産経新聞の記事によると、沖縄では過去には自衛官というだけで住民登録を妨害されるなど、人権無視ともいえるバッシングを受けていたという。
那覇市では、隊員の成人式参加を阻止する運動が起き、法務局が人権問題として調査に乗り出す事態にもなったそうだ。

これらは沖縄返還から間もない1970年代の事例であり、現在は県民の約8割が信頼を寄せるなど高く評価されているという。
だが、今回の社説のような論調が続いていることに、非常に驚いている。

沖縄県の玉城デニー知事の言動にも疑問を感じている。

玉城氏は7月上旬、河野洋平元衆院議長らと訪中し、北京の人民大会堂で李強首相と会談した。
同県・尖閣諸島周辺には、武装した中国海警局船が連日侵入して、県民は大きな不安を感じているが、
玉城氏は尖閣問題に一切言及しなかったという。

さらに、玉城氏は北京市郊外の「琉球国墓地」跡地や、中国福建省福州市の「琉球館」を訪問した。
前者の墓地には「沖縄県設置」に反対して清国に渡り、沖縄への軍隊派遣を要請した人々が埋葬されていた。
琉球館は「朝貢貿易」の象徴的な施設であり、沖縄県のトップとして、中国に間違ったメッセージを送った危険性があるのだ。

八重山毎日新聞の社説や、玉城氏の言動を見ると、「沖縄の危機」は、中国の脅威だけでなく、
沖縄の一部にある自衛隊への差別意識や、危機意識の欠如にもあると感じる。
沖縄を取り巻く厳しい安全保障環境を直視し、特定の思想や主張に固執することはやめるべきではないか。

夕刊フジ 2023.7/28 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20230728-Q24CTEZH7BPVDFYRHSJZNZIOAI/