「文化や人種の異なる人々が当たり前に暮らせるように」。全国高校総合文化祭の弁論部門で3日、
沖永良部3年の川上天歌(てんか)さんが全体2位の文化庁長官賞に選ばれた。
外国出身の母と自身の歩みを語り、差別のない社会を力強く訴えた。

 鹿児島市のサンエールかごしまで1日から開かれた弁論には38都道府県の74人が出場。
3日登壇した川上さんは、中国人の母が職場で差別を受けてうつ病を患った経験を明かした。
哀れむ周囲に自分の気持ちを押し殺す日々。その中で外国人差別に立ち向かう在日韓国人と出会って勇気をもらい
「母に勇気を与える存在になれた」と述べた。

 昨年10月の県大会で最優秀賞を獲得。12月の九州大会は5位に終わり、悔しさがこみ上げたという。
「差別のある現状は今も昔も変わっていない」。どうすれば思いが伝わるか、何度も原稿を書き直し、
本番1カ月前にようやく完成させた。

 壇上では、聴衆の心に語りかけるような声量や強弱を心がけた。
母の李暁麗(り・しょうり)さん(52)と父、姉が客席から見守る中、地元の大会で好成績を収めることができた。
この日は18歳の誕生日でもあり「うれしい。家族に感謝したい」と声を弾ませた。

 将来の夢は小学校教諭だ。「弁論を通じて精神面の成長を感じている。
母を支えたように、子どもたちの悩みに寄り添い、相手を受け止める先生になりたい」と笑顔で語った。

2023/08/03 21:55
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