中国の不動産大手、中国恒大集団が米国で連邦破産法15条の適用を申請した。

米連邦破産法15条は外国企業に適用されるが、外国企業が債権者の差し押さえなどから米国内の資産を保護するために申請する。
恒大集団は2021年12月にドル建て債の債務不履行(デフォルト)に陥っているので、この申請には意外感はない。

恒大集団は形式的にはケイマン島法人で香港市場に上場している。
そのバランスシート(貸借対照表)をみると、21年12月末は資産2・1兆元(約42兆円)、負債2・6兆元(約52兆円)で
0・5兆元(約10兆円)の債務超過だった。
22年12月末は資産1・8兆元(約36兆円)、負債2・4兆元(約48兆円)で0・6兆元(約12兆円)の債務超過だ。

欧米の常識なら、表面化した財務諸表で債務超過になった場合、既に自国において破産申し立てがあり、
裁判所が破産認定をしているはずだ。
例えば、リーマン・ショックとは、多額の損失を計上したリーマン・ブラザーズが米連邦破産法11条の適用を申請し、
08年9月15日に破産している。しかし、中国ではそのような公式の手続きはまず期待できない。

恒大集団をめぐっては地元の中国広東省が支援をして、今年3月に外貨建て債務の再編計画が発表されたが、
企業集団全体の再建計画もはっきりせず、外貨建てに限っても再編計画で合意したのは一部にとどまっている。
筆者の見立てでは、恒大集団は外貨建て再編計画を有利に運ぶために、米国破産法15条の申請をしたのではないだろうか。


普通に考えれば、恒大ショックは、他の不動産会社に飛び火し、
それらの資金調達を支えていた金融のシャドーバンキング(影の銀行)にまで波及し、
それは地方政府の資金調達手段である地方融資平台にまでおよび、地方政府の「隠れ借金」が顕在化するだろう。

しかし、恒大ショックでも分かるように、まともな財務諸表や破産法制がきちんとワークしないのが中国である。
中国にも破産法制は形式的には存在するが、先進国では債務超過であれば、
ほぼ自動的に破綻申請は裁判所に受理されるのに中国では受理されない。
となると、不良債権や破産処理のための法的整理・資本注入などが透明性を持って行われる可能性は少ない。
その場合、いつまでたっても不良債権のウミは出ないで、経済取引が停滞する。

不動産業は関連企業を含めれば中国の国内総生産の3割にもなる。
不良債権のウミを出さないままだと、不動産取引でババをつかまされるのではと疑心暗鬼になるので、経済停滞は避けられないだろう。

経済停滞しても、先日の失業率統計の公表取りやめのように、隠蔽するのが中国のやり方なのだろうが、
そうした国とまともに経済取引できない。
となると、これまでの対中取引は見直されるので、一時的な世界経済のマイナス要因になるだろう。
しかも中国では透明的な破産処理がなされないので、出口は見えない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

夕刊フジ 2023.8/24 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20230824-TRJBJNDGPJII5CNAJWCAJE5Y2A/

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