中国の習近平共産党総書記(国家主席)がインド・ニューデリーで9〜10日に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を同氏として初めて欠席する。

無理もない。8月10日にバイデン米大統領から、中国経済について「爆発するのを待っている時限爆弾」とズバリ言われた。不動産バブル崩壊は止まらず、金融不安も募るのに、情報隠し以外の対策を打てない状況だ。「時限爆弾」の規模は不動産デベロッパー発行の債券だけでも500兆円規模とみられている。各国首脳に聞かれたら返答に窮するだろう。

習氏膝元の北京では、信託商品の支払い不能の投資ファンド大手、中植企業集団とその傘下の中融国際信託のオフィスビルには投資家の主婦や零細企業経営者などが連日のように、押しかける。習政権の対応はもっぱら新聞やテレビに対する徹底的な報道管制と公安警察による投資家抗議グループへの執拗(しつよう)な監視や拘束である。公安は投資家全員に個人情報の提出を求め、行動を24時間追跡しているもようだ。

中国の場合、これまで何度も不動産バブルがつぶれても広汎な金融危機の発生を阻止した。その秘訣(ひけつ)は徹底的な情報の隠蔽にある。貸し手の金融機関や投資ファンドの信用は、バランスシート(財務諸表)上の負債が資産を上回らなければ、つまり債務超過が表面化しなければ保たれる。中国の場合、党の指示で不良資産を隠してしまう。その間に主な投資先の不動産市場が好転すれば、難局回避というシナリオだ。

今回はそうは問屋が卸さない。外資は中国市場から逃げ出し、中国人の資産家も香港経由で資産を外部に持ち出す資本逃避に躍起となっている。その結果は人民元の対ドル相場に反映する。人民元が売られるので、元安が進むのだ。

グラフはロシアによるウクライナ侵略開始以降の香港市場での人民元相場と中国の人民元による対外支払いの推移である。貿易や金融・資本取引の人民元決済は、習政権が2018年6月、当時のトランプ米政権との貿易戦争勃発を機に、ドル離れのための手段としてきた。西側の対露金融制裁を受けて、中露はドルに代えて人民元決済に切り替えた。すると、ロシアは石油や天然ガスの対中輸出代金を香港の銀行に開設した人民元口座に振り込ませる。だが、そのままだと元安で損失を被るばかりか、リスクだらけの中国の資産市場で運用するのは馬鹿げている。従って、入金すればただちに香港の人民元・ドル市場で売却するので、元はさらに下落する。

習氏は8月下旬、南アフリカで開かれたBRICS首脳会議に出席し、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルゼンチンなど人民元決済を働きかけている6カ国の新規BRICS参加を先導したが、いずれの国も値打ちが下がる人民元を手にはしたがらないだろう。続いて、G20サミットに参加しても恥をかくだけだ。習氏の強権は人民元暴落不安をかき立てるのだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

https://www.zakzak.co.jp/article/20230908-AHS5ZCIL4NO65CWOTULJOBLYTQ/

中国の8月輸出8.8%減 4か月連続のマイナス 輸入も7.3%減少で6か月連続のマイナス [9/7] [昆虫図鑑★]
https://lavender.5ch.net/test/read.cgi/news4plus/1694073326/