財政が火の車になっており、絶望的状況の韓国政府。このままいくと、2023年度は当初の予定よりも約60兆ウォン足りなくなると再推計されています(企画財政部による)。

足りない分はどこかから調達しなければならないのですが、先にご紹介したとおり、国債の発行には(政府が自ら定めた)天井があって、これを突破することはできません。

あっちでも手詰まり、こっちでも手詰まり
2023年の国債の発行上限は「約168兆ウォン」。現在どこまできているのかというと、116.3兆ウォンです(以下の2023年09月14日公表『月刊財政動向09月号』を参照)。

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国家債務

07月末の中央政府債務は前月比14.5兆ウォン増の1,097.8兆ウォン。

前年末比では、国庫債残高は66.2兆ウォン(発行116.3兆ウォン、償還50.1兆ウォン)、外債残高は0.2兆ウォン増加した。

住宅債残高は1.2兆ウォン(発行7.8兆ウォン、償還9.0兆ウォン)減少し、中央政府債務は前年末比64.4兆ウォン純増。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 企画財政部』公式サイト「『月刊財政動向』2023年09月号発刊」

2023年07月時点で、約168兆ウォン許容される国債発行額のうち、116.3兆ウォンまできています。

つまり、残り5カ月で「51.7兆ウォン」だけ。

償還しなければならない国債もあるので、税収が約60兆ウォン不足するのを国債発行で賄うのは不可能です。

自ら課したシーリングを破れば税収不足をカバーすることは可能ですが、これ以上政府負債を積むと、目を光らせている信用格付機関が韓国のソブリンリスクを重く見て、格付けを下げる可能性があります。

1997年のアジア通貨危機時のことが骨身に染みている韓国政府としては、信用格付の下落だけはどうしても避けないといけません。韓国からの資金流出が懸念されるからです。

また、国債が市場に大量に出回ると民間の資金調達を阻害する可能性があります。なにせ、韓国政府の債券ですから「親方太極旗で飛びません」ということになっており、格付けはトリプルA。資金が国債に集中すると、民間企業の債券が割を食うのです。

そのため、韓国政府としても国債の大量発行には踏み切れません。

もう一つ資金調達の手があって、それは『韓国銀行』から短期借入することです。

Money1でもご紹介したとおり、韓国政府は国債発行ではなく、『韓国銀行』からの単借に依存するようになっています。しかし、これも借りては返しの自転車操業。

もう何度だっていいますが、韓国の2023年度の支出予算は約640兆ウォンです。

税収が約60兆ウォン足りないということは、支出規模の約9.4%がショートすることを意味します。かなりの深手です。

では、どうするか?

外平債基金からお金を補填しよう――という話
ここにきて非常に面白い言説が出ています。

外国為替平衡基金からお金を持ってこよう――というのです。

外国為替平衡基金というのは、外国為替平衡基金債券(外平債)を発行して入手したお金をプールしておくためのものです。「為替介入をするための原資となるお金」をためておくために存在します。

為替介入のための資金を債券発行で入手する(しかも堂々とそう謳って発行している)、などという政府は他にはありません。

先に、初めて円建てで発行したことをご紹介しましたが、これもまた、そもそもは為替介入資金を集めるためのものなのです。

https://money1.jp/archives/112506

韓国メディア『聯合ニュース』などが報じていますが、韓国企画財政部は外国為替平衡基金のお金を国税収入不足を補填するために使おうとしている――というのです。

(略)

また、指摘しておきたいのは、円建てで発行した外平債の資金も結局は韓国政府の財政不足の補填に使われる可能性が出てきた、という点です。つまり、円建ての資金が韓国政府の維持に使われるのです。反日国家としてはいかがなものでしょうか。

「じゃあ外平債って国債とどこが違うんだ」と思われるかもしれません。

答えは「一緒です」になります。そのため、現在では外平債も国債の一種とカテゴライズされています。ただし、企画財政部の出す資料では、「外平債」(英語資料では「Foreign Exchange Stabilization Fund Bonds」になります)は外平債として発行残高を示すようにしているのです。

(柏ケミカル@dcp)
https://money1.jp/archives/113129