9月29日から10月6日までの8日間にわたる中国の国慶節が終わった。中華人民共和国の建国が宣言された1949年10月1日を祝う、いわば「建国記念週間」というわけだが、秋の行楽シーズンとも重なり、多くの市民が旅行に出かける時季として知られている。

コロナ禍が明け、中国政府は徹底して敷いていた「ゼロコロナ政策」を解除。8月には団体旅行を解禁したが、長い期間にわたって海外旅行が“おあずけ”になっていた多くの中国人観光客が向かった先は、日本だった。

中国へのマーケティング支援を行う企業が中国在住の中国人に対して行った調査では、なんと76%の人が「行きたい国」として日本を挙げ、2位のシンガポールを大きく引き離して1位に輝いている。地理的に近く、フライト時間が短いこともあるが、それだけでなく富士山や京都などをはじめとする観光地や和の文化、そして何より豊かな食文化が中国人の心をくすぐるようだ。

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◆高い日本のタクシー、中国人が運転する安い“白タク”

中国では“日本のタクシーは高い”と認識されている。中国のSNSをみると「1kmほど移動するのに、中国なら200円くらいで済むが、東京だと600円もする」との声もあった。

中国人は合理的な考え方を好む国民性だといわれる。そんな彼らが利用するのが、在日中国人が運転する“白タク(営業に必要な許可を受けず、自家用車を使って営業する違法タクシーのこと)”だ。中国のSNSでは「日本のタクシーは世界で2番目に高く、欧米のそれよりも高い」「安心の中国語接客で包車(チャーター)できます」などと中国語で謳われ、予約を受け付けている。

気になる価格は「成田空港送迎・1回1万6000円」「東京都心エリア1日・3万7000円」など。客待ちしているタクシーに乗ると、日中でも成田空港から都心まではメーターで2万5000円以上になるので、いかに“白タク”が安いかがわかる。

国慶節終了翌日の10月7日、実際に記者が羽田空港国際線ターミナルに赴いた。乗客の出口には、40代と見受けられる中国語を話す男性がネームカードを掲げ、北京からのフライトでやってきた6人の高齢中国人客をピックアップする姿があった。中国人客らがスーツケースを転がしながら歩くこと5分、案内先の駐車場には10人乗りの白いハイエースが停められており、ぞろぞろと乗り込んでいった。ナンバープレートは埼玉県内のもので、もちろん自家用車を示す「白ナンバー」。運転手に問うと「中国の友達を迎えに来たんだ」と笑顔で話した。そう答えろと教えられているのだろう。

成田空港でも状況は似たようなものだ。空港で客待ちをするというタクシー運転手があきらめ顔でこぼす。

「いまや売り上げは東京都心までタクシーで行ってくれる外国人頼みだけれど、白タクが増えて商売あがったり。アプリか何かでやりとりしてるんだろうね、ナンバープレートをたよりにクルマを探し、白ナンバーのミニバンや大型ワゴン車に乗り込んでいく中国人らしきグループがよくいるよ。明らかに違法の白タク行為だろうけれど、聞いたところによれば、中国語でのやりとりのうえ、運賃のやりとりもすべて中国の金融機関で完結しているらしい。だから、取り締まるのは難しいんじゃないかな……」

ちなみに、中国人ドライバーらがスーツや制服を着ていることはまれ。ほとんどTシャツにジーンズなどのラフな格好だ。

◆中国人ドライバーの“メンタル”に困惑

さらに、“違法白タク”は都心にも進出しているという。主に都内で走行する役員ドライバーが話す。

「ミニバンやワゴンは習志野、柏、松戸ナンバーなど千葉県の郊外のナンバー、それに大阪のなにわナンバーも多い印象です。白ナンバーの大型バスも多く、群馬とか栃木、大阪の和泉ナンバーも中国人らしき客をよく乗せていますね」

なにより困惑するのは、中国人ドライバーの“メンタルの強さ”だという。

「たとえばGINZA SIX、松屋銀座などの前には買い物中の客を待とうとする中国人ドライバーがたくさんいる。彼らは他のクルマが停まっていても、わずかな隙間に突っ込み、斜め駐車になっても構わず強引に停めてそのまま居座るんです。

日本人ドライバーは“斜め駐車は通行の邪魔だ”と、つい前後にずらしてしまい、いつの間にか中国人ドライバーのクルマが横付けしている、ということが頻発しているのです」(前出・役員ドライバー)

GINZA SIXなどの周辺では一般客が流しのタクシーを捕まえようとしても、中国人ドライバーらの駐車車両がビッシリで停まれないから拾えない、という状況が常態化しているという。一般の買い物客にも多大な迷惑がかかっているということになる。

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https://www.zakzak.co.jp/article/20231016-XBDLUYYDJ5IJNOGFH2XP7SOWE4/