0001仮面ウニダー ★
2023/10/21(土) 13:38:23.26ID:Cd7j9LSh打ち手は麻雀のように四方向に座り、進行はサイコロに似たようなものと方位学によってすすめるが、判定は非常にこみいっていて、
話を聞いているだけでぼくにはまったく理解不能、ということがわかった。
中国人の通訳がぼくに教えてくれたのだが、交わされている言語の殆どが基本的に理解不能だったからどだい無理なハナシなのだった。
わかったのはいったん始まると一週間から一カ月ぐらいかかった、ということと、打ち手の交代もある、ということだった。
三国志の国であるから、奇襲や裏切りもあるようだったが、本当の戦闘よりも展開が難しそうで疲れそうだった。
これが省略と単純化の経緯をたどり、今日のような日本の将棋になっていった、という説があるけれど、
まったくちがってあれは高度に発展した日本独自のもの、という説が大きいようだ。
単純化していくとチェスのように何日もかけてタタカウようになってかえって奥が深まり、難しくなっていったようだ。
中国の四人将棋のことを聞いて思いだしたのは、ぼくが子供の頃に経験した「戦争将棋」(軍人将棋ともいった)だった。
二人で対戦するが、駒は最初から全部伏せられていてサイコロで先手を決める。
両軍がヒト駒ずつぶつかりあう「局地戦闘」でまず勝負する。そうして駒をつぶしていく。
面白いのは両者のあいだに審判のような「判定人」が必要なことで、判定人はすべての駒の優劣を知っていなければならない。
つまり三人制の将棋なのだった。
いろんなスタイルのものがあったけれど、大将から少尉まで一般的な軍人の階級があって、そういう駒とタンク(戦車)
などがぶつかってたたかうこともあり、階級の高い駒はタンクにも勝てる。
人間と戦車とのタタカイで優劣をつけるのは無理じゃないのか、と思ったものだ。
子供心にも強烈な印象だったのは「スパイ」という駒の存在だった。
スパイはすべての駒に負けるが、たったひとつ、大将だけには勝てる。
そのためには戦場を他のどの駒ともぶつからず、ひそかに進むのがコツだった。そうして大将を破ればその軍が勝ちなのだった。
ふーん、スパイとはそんなモンなのか、とやや蔑む気持ちで認識していたものだ。
この戦争将棋には「海軍編」というのがあって、戦艦、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、魚雷艇などを展開してタタカウ。
ここにも「スパイ」みたいな役割の船があって子供心にも胸躍った。
それは水雷艇でボートみたいな小さな船の先端に魚雷が仕込んであって、突入するとテキの戦艦も破ってしまう、というキケンなやつだった。
その時代の戦争好きがああだ、こうだと言って考案したような気がする。
駒が全部裏がえし、というところがトランプの「神経衰弱」みたいでヘンだった。
■椎名誠
2023.10/20 15:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20231020-OGUMDH54OJLMNIPTCYCJR73F2Y/