ー前略ー
防衛省によると、10月28日から11月5日までの9日間に、宮古島南方の太平洋を航行中の山東で、
艦載の戦闘機約420回、ヘリコプター約150回の計約570回の発着艦があった。
海上自衛隊の護衛艦が山東を監視し、戦闘機の発着艦には航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。

3日には台湾国防部(国防省)が、中国の戦闘機「殲10」や「殲11」、対潜哨戒機「運8」など
延べ39機が同日午前6時(日本時間同7時)までの24時間に台湾周辺で活動したと発表した。
うち延べ20機が台湾海峡の暗黙の「休戦ライン」である中間線を越えたり、台湾の南西や南東の防空識別圏に進入したりしたという。

また、米インド太平洋軍は10月26日、「殲11」が南シナ海上空で現地時間24日夜、
米軍のB52戦略爆撃機に3メートル以内の距離まで異常接近したと明らかにした。

「プロとはいえない危険な作法と未熟な航空技術。コントロールの利かない過剰なスピードのまま、
B52の下、前方や、10フィート(約3メートル)以内にまで近づいて飛行し、両機を衝突の危険にさらした」

米インド太平洋軍は、中国軍機による挑発行為を、書面でそう強く批判した。

「(中国軍の)行動は事故を引き起こし、想定外の衝突につながりかねない」

中国軍機の危険行為をめぐっては、米国防総省が17日、「事故を引き起こし、想定外の衝突につながりかねない」と警告し、
動画などを公開したばかりだった。

機密解除された映像や画像は15件で、2022年1月から23年9月の間に起きた。
今年7月には東シナ海上空で、中国軍の戦闘機が米軍機に異常接近し、
約270メートルという近さで「フレア」と呼ばれる熱源を8発発射した。

中国軍機のパイロットが米軍機を撮影する様子も紹介されたほか、
米軍偵察機のパイロットが近づいてきた中国機への交信を試した際には、
「ファック・オフ(消えうせろ)!」との言葉が返ってきたこともあったという。

国際空域での中国軍の「威圧的で危険な行動」は21年秋からの2年間で180件超で、
それ以前の10年間で発生した件数を上回る。米国の同盟国や友好国への行為を含めると300件規模になるという。

軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、「米側も中国軍機の挑発的な行動にはクギを刺しておかないと、
常態化を容認することになると発表に踏み切ったのだろう。
中国は尖閣周辺を『領空』だと主張して既成事実を積み上げる狙いがあり、現在はウクライナとイスラエルへの支援で
米側の反応が鈍くなるタイミングでもある。
ただ、すぐに戦闘準備に入ったり軍事衝突の危険性があるといった状況ではない」との見方を示す。

■中東を注視、中国監視緩む恐れ

尖閣諸島周辺の上空では10月、国連活動に参加していたカナダの偵察機に、
中国軍の戦闘機が5メートル以内の距離に接近していたことも判明した。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「カナダの偵察機は北朝鮮の船舶が海上で積み荷を移し替える『瀬取り』の監視のために
飛行していたが、激突事故寸前だった。今後もそうした行為は熾烈(しれつ)になってくるだろう。
空中で幅寄せ≠してくるような中国側の国際ルールを逸脱した敵対的行動には、米側も黙っていられなかったということだろう。
最近は中国側も中国沿岸部からの戦闘機のスクランブル発進回数が激増していた。
2001年4月には、実際に南シナ海上空で米側の哨戒機と中国軍戦闘機が激突した海南島事件も起きている。
今後も尖閣周辺では日本の自衛隊機が偶発的な事故に巻き込まれて墜落する危険性もあり、予断を許さない」と警鐘を鳴らした。
ー後略ー

全文はソースから
2023.11/13 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20231113-KJVXF56R25J6LOSI254H3JIAPM/