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(ブルームバーグ): 世界2位の経済大国、中国の政策当局は3年前、住宅価格の高騰を抑え、金融リスクを排除するため、借金漬けの不動産セクターを徐々に減速させようとした。

だが、実際に起きたのは家計資産の破壊とオフショア債市場の荒廃、地方政府から歳入を奪う不動産のメルトダウンだった。

以下のチャート10枚からは、中国経済全体における不動産危機の広範な影響が見て取れる。

1. 不動産販売の急減

全国不動産販売額のピークは2021年の18兆2000億元(約362兆円)。この時まで不動産は中国最大級の産業だった。あまりの巨大さに大手デベロッパー、万科企業の会長は多角経営を図れるような稼げる代替事業が見つからないと語っていた。

2. 波及

不動産セクターは経済成長のエンジンから一転して重しとなった。公式データに基づく試算では、不動産セクターの生産高は昨年3400億元減少した後、今年1−3月(第1四半期)に510億元減った。
不動産セクターの縮小は長期的には経済にとってプラスであり、より生産性の高い産業に労働力や資本を回せるようになると広く考えられている。
だが、中国恒大集団でチーフエコノミストを務めていた任沢平氏によれば、中国では不動産は60余りのセクターと関連しているため、短期的なショックは痛みを伴う。その波及効果は資源や建材などの川上の産業から、家電製品やリースなどの川下にまで及ぶ。

3. 投資の低迷

販売不振は碧桂園のような不動産大手をデフォルト(債務不履行)に追い込み、他企業の支出を抑制した。不動産開発投資は22年に1兆4700億元急減すると、今年1−11月に悪化。固定資産投資を圧迫している。

4. 地方政府の収入減

不動産セクターの低迷で、地方政府の土地使用権売却収入は減っている。財政省のデータによると、こうした収入は22年に23%減少し、今年1−11月には前年同期比で18%減った。住宅市場を支えるため21年に始めた売却規制緩和はあまり寄与していないようだ。

5. デベロッパー債消滅

政府が20年に不動産セクターの借り入れを制限するいわゆる「3つのレッドライン」政策を導入するまで、高リターンながらデフォルトが極めてまれなデベロッパー債は中国で最も人気のある債券取引の一つだった。
中国のオフショア投資不適格(ジャンク)債は、そのほとんどが不動産開発会社によって発行されたもので、12−20年には年平均9%を超えるリターンを記録した。
だが、この市場は今や完全に死んだも同然だ。20年以降、デフォルトは増加の一途をたどり、今月11日現在で1330億米ドル(約18兆9000億円)に達し、オフショア投資家がこうした損失のほとんど全てを被るはめになっている。

6. 時価総額急減

中国の不動産株は依然として下落トレンドから抜け出せず、14年ぶりの安値に近い。12月半ば時点で、中国の民間不動産会社上位10社は、20年1月上旬以降、計1兆1000億香港ドル=約20兆円(84%)の時価総額を失っている。

7. 消費の減退

公式統計によれば、中古住宅価格は21年7月のピークから8%下落。経験則によると、大都市での下落幅はさらに大きい。
こうした値下がりは個人消費を減退させるとみられている。

8. 大量解雇

上記の計算には、人員削減の影響は含まれていない。つまり、不動産セクターのメルトダウンが家計支出に与える実際の影響はさらに大きい可能性がある。中国最大級の民間不動産デベロッパーの中には、3つのレッドライン規制が導入されて以来、従業員数を80%近く削減したところもある。

9. 富豪の資産縮小

中国不動産界の大物はかつて国内で最も裕福な人物とされ、恒大集団の創業者、許家印氏はアリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏と肩を並べ、トップクラスだったこともあった。
19年末以降、不動産界の大物とされた人々の資産は少なくとも970億米ドル減少。これは主に彼らの企業の時価総額縮小によるものだ。

10. 広がるデモ

米人権団体フリーダムハウスの「中国反体制モニター」プロジェクトによれば、22年6月以降に中国本土で不動産関連のデモが1800件余り行われた。約3分の2のケースは、プロジェクトの遅延や施工不良などの問題に抗議する住宅購入者で、残りは主に賃金を要求する建設労働者によるものだった。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/51bfdd6cf80d87ad1665ab5ba240f951ed876c73?page=1