中国でスパイの摘発を担う国家安全省は、「中国衰退論で攻撃を受けている」として、
中国経済に対する批判的な言論も違法行為として摘発する可能性を示唆したという。

中国の反スパイ法は2014年に施行されていたが、これまで既に日本人17人が拘束されたと報じられている。
今年3月には大手製薬会社の中国現地法人の日本人社員が反スパイ法違反の容疑で拘束され、その後正式に逮捕された。

さらに、中国経済に関する批判的な言論が違法行為になるという。筆者は、民主主義と1人当たり国内総生産(GDP)の
関係について、20年くらい前から研究している。
その結果、産油国を除き、一定以上の民主主義がないと長期的に1万ドルを超えにくいことや、民主主義が一定以上になると、
1人当たりGDPと比例関係になる、という仮説を提唱してきた。

これまでのところほぼ想定内で推移してきたが、この仮説から演繹(えんえき)されるのは、中国はかなり民主化しないと、
今後の経済成長は望めないということになる。
具体的には、中国の民主主義指数(最低が0、最高が10)は「2」なので、インドのように「6」以上にならないと経済発展は難しい。

こうしたことも日本で唱えている限りは大丈夫だろう。しかし、中国の反スパイ法には、「域外適用」らしき規定がある。
反スパイ法第10条には、中国国内の機関や組織、個人が、外国の機関や組織、個人と結託して、
中国の国家安全に危害を及ぼすスパイ行為についても責任追及されると定めており、外国にある機関や人がした行為についても、
法的責任が課される恐れがある。

香港国家安全法でも第38条で「域外適用」が規定されていたので、反スパイ法でも域外適用があってもおかしくない。
ここまでくると、中国は、世界の国のみならず、全宇宙の言論をも支配しているのかと疑ってしまう。

いずれにしても、中国経済衰退論のみならず、『中国GDPの大嘘』という著作がある筆者は、
中国の反スパイ法の適用対象となるのかもしれない。

筆者が長年述べてきた「民主主義と経済発展」の関係からいえば、昨今の中国の不良債権問題は絶好の適用事例になる。

民主主義が不十分だと、三権分立のような司法の独立性が確保できない。となると、裁判所が債務超過企業に破綻認定が出せない。
その場合、どの企業が破綻しているのか分からず、安心して「掛け取引」をすることが困難になる。

そうなると経済取引がシュリンク(縮小)し、健全な経済発展が難しくなる。
特に、裁判所による破綻認定が独立して行える民主主義国との取引は円滑に実施できなくなるだろう。

中国は習近平国家主席体制になって以降、ますます悪い方向になっているように筆者にはみえる。

学者としての自分の仮説が証明されているようで、悪い気持ちはしないが、中国経済の今後は明るくないと言わざるを得ない。
(元内閣参事官・嘉悦大教授・高橋洋一)

2023.12/27 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20231227-5GJT3DKW7VLSHP3422I55VKNMM/

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