・韓国と北朝鮮の「統一」をめぐって…
ー中略ー

 最近では、韓国と北朝鮮の「統一」についての賛否を問うアンケート調査があり、
賛成と答えた人が過去最低水準になったという結果が出て、注目も集めている。

 私自身も、「統一」について考えてみた。

 私が通っていた朝鮮学校時代には、半強制的に参加させられたデモで、必ず「祖国統一、ひとつの民族」と叫んでいた。

 だが、このアンケートの様に必要かどうかについては、じつは考えたことがないことに気がついた。
実際、これまでただの一度もそんなことを考えたことがないのだ。

・「祖国統一」って、なんだ…?
 私は韓国の慶尚道に戸籍があり、北朝鮮には叔父が朝鮮大学より自分の意思に反して送北され、現在は平壌で暮らす。
そして、亡くなった祖父は組織の幹部で、親父は韓国側組織の幹部だった。

 それでも「祖国統一」なんてものを自分から考えたことがないのだ。

 今回改めて「祖国統一」なんて考えたことのない自分に驚き、先輩、後輩に連絡をしてみた。
すると、さらに驚くことに、私の周りの先輩、後輩たちもこれまで真剣に「祖国統一」を考えたことがないと言うのだ。

 私との電話を終えた先輩、後輩は興味があったのだろう。それぞれがまた周りの者(在日)たちにも聞いて回ったらしい。
すると、9割以上が「考えたことがない」と答え、「ある」と答えた者には「どうして」と聞き直すと答えに詰まったという。

 「考えたことがない」と答えたある先輩は、
「そんなもの学校(組織)に言わされとっただけやん。日本に住みながら誰が祖国統一を真剣に考える?」と言い切っていた。
そうなのだ。「祖国統一」とは、少なくとも我々は自分の意思ではなく言わされていたのだ。

・「経済発展」のため
 そんな「祖国統一」を、韓国では建て前でも「必要」ということには違和感がある。その根底にあるものは何なのか。

 私のカミさんは韓国人で、文在寅に投票をしているが、何も考えずに周りに流される韓国人の1人ともいえる。
そんなカミさんに「祖国統一って言うけど何で」と聞いてみた。

 答えは「それは領土を広げることでの経済発展だから」と言う。「一つの民族って意識はないの?」と聞くと、
「ないない。もう思想がまったく違うでしょ? こっちは資本主義であっちは共産主義(金家族信仰主義)だから、水と油だしね」としたうえ、
「仮に統一したとしても、北朝鮮主導はあり得ない」と話すのだ。

 それなら「なぜ文在寅に投票したのか?」と続けて聞きたかったが、また口論になりそうなのでそれは我慢した。

 韓国でも統一を口にする場合、理由を聞くと多くが「経済効果」を話すのが実情なのだ。

 そこで民族的意識を絡めるのは、左派の従北者ばかりである様に思える。
私の友人で、米卸で財を築いたプチ財閥の息子も「統一すべき」と話しながら、理由は「経済発展のため」と言う。

・「二極化」する意見
 統一とは私たちが朝鮮学校で習った「一つの民族」という意識ではなく、少なくない韓国人にとっては国がこれ以上の発展を遂げるには
領土拡大が必要とした統一の様なのだ。

 こうやって「祖国統一」という言葉を考えてみると、いろいろな側面が見えてくる。

 いまは「一つの民族」というよりは経済効果を願っての「祖国統一」を願う一方で、
北朝鮮の独裁的金家族信仰を広めるための「祖国統一」と二極化している。

 ちなみに私の「祖国統一」は、国交さえ正常化すれば良いと思っている。韓国からも北朝鮮からも行き来さえできれば十分だ。
2024年にはそうした一歩が進むだろうか。
豊 璋(在韓国コンサルタント)

全文はソースから
現代ビジネス 12/28(木) 7:33配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/677035d479d067a6c0cbd96daaa10bd87b61b03e