大晦日に放送された『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK)の関東地区平均世帯視聴率がビデオリサーチより発表された。第1部(19時20分〜20時55分)は29.0%、第2部(21時〜23時45分)は31.9%と判明。2部制を導入した’89年以降、第1部は初の30%割れ、第2部は過去最低だった’21年の34.3%を大きく下回り、第1部・第2部ともに過去最低を記録した。

惨敗を喫した紅白について、スポーツ紙芸能デスクが振り返る。

「大変厳しい結果になりましたが、初司会となった有吉弘行(49)、浜辺美波(23)に、2年連続で司会の大役を務め上げた橋本環奈(24)の3人体制はこれまでになく新鮮に映りました。なかでも橋本さんの堂々たる進行ぶりは目を見張るものがあり、司会陣は評価されるべき奮闘を見せたと思います。テレビ放送70年の特別企画枠で黒柳さん(徹子・90)がサプライズで出演し、薬師丸さん(ひろ子・59)が『セーラー服と機関銃』を、寺尾さんが(聰・76)が『ルビーの指輪』を披露するなど、見どころもあったと思います」

そんな中で過去最低視聴率を記録した要因はいったい何だったのか。レコード会社スタッフが分析する。

「目玉と呼べる大物アーティストの出場がなく、世間の関心を集めきれなかったことが何より痛手です。若者に人気のJO1、BE:FIRST、Stray Kids、SEVENTEENといった日韓ダンス&ボーカルグループ4組出場に、YOASOBIの世界的大ヒット曲『アイドル』の音楽番組初歌唱と出場者とのコラボなど内容は盛りだくさんでしたが、リアルタイムで見たいと思わせる決定打がなかったことが、結果に反映されました」

理由は他にもある。芸能プロ関係者は、「中高年を取り込むことに成功したライバル番組の存在が大きかった」と語る。

「侍ジャパンを世界一に導いた監督の栗山英樹氏(62)や中高年に根強いファンの多いドラマ『相棒 season22』主演の水谷豊(71)と寺脇康文(61)など、豪華な出演者で挑んだ『ザワつく!大晦日 一茂良純ちさ子の会』(テレビ朝日系)は、関東地区平均世帯視聴率12.3%と紅白裏番組の視聴率1位を獲得しました。同じく紅白真裏で6時間にわたって生放送された『第56回年忘れにっぽんの歌」(テレビ東京系)も中高年層を満足させるものだった。松平健(70)が『マツケンサンバU』でお茶の間を沸かせ、北島三郎(87)、千昌夫(76)、細川たかし(73)などの演歌界ベテラン勢が多数出演。これらの番組に視聴者を食われたことも一因でしょう」

惨敗となった紅白歌合戦。前出の関係者二人が語るように、その理由はさまざま考えられる。しかし、低迷の原因として語らざるを得ないのが「旧ジャニーズタレント出演ゼロ」の影響だろう。今年の紅白は、故・ジャニー喜多川氏による性加害問題で、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)からの出場が44年ぶりに「ゼロ組」だった。

一方で、旧ジャニーズ勢が仕掛けた無料生配信は大成功した。数々の人気グループがSNSなどで生ライブを配信。なかでもSnow Manは公式YouTubeチャンネルで約1時間半にわたりライブを披露し、同時接続数は133万人にまで膨れ上がった。これは同時接数における日本歴代1位の記録だ。民放キー局社員はため息混じりに明かす。

「創意工夫を凝らした企画などで『脱・ジャニーズ』を図ったNHK。しかし、結果だけを見れば旧ジャニーズタレントの抜けた穴を埋められなかった。それどころか、Snow Manをはじめ旧ジャニーズ勢が無料生配信で驚異的な数字を叩き出したことで、関係者の間では『結局ジャニーズに頼らないと視聴率が取れない』という思いが強まっています。

もちろん旧ジャニーズの各グループのパフォーマンスは素晴らしかった。多くの人に閲覧されたのは彼らの努力の賜物です。ですが、再び事務所への依存が強まることは別問題です。今回の結果を受け、旧ジャニーズ事務所と各局の悪しき関係が、断ちきれないのではないかと懸念しています。また、紅白の存在自体も見直す時に差し掛かっているのかもしれません。視聴者の期待にNHKが応えられるか否か……。難しい判断に迫られたことだけは間違いありません」

業界関係者も大いに注目した今回の紅白歌合戦。「最低視聴率」という結果を、NHKは、民法キー局はどのように受け止めていくのだろうか。

FRIDAYデジタル

https://news.yahoo.co.jp/articles/57f12fafd004399328ffaa185288c264efaa059e?page=1