株高はどこまで続くのか。22日の東京株式市場で、日経平均株価は終値で3万6000円台に乗せた。
新NISA(少額投資非課税制度)スタートによる個人の買いに加え、海外投資家の資金も流入し、
1989年末につけた終値の史上最高値3万8915円の更新が視野に入るだけでなく、4万円の大台、
さらに将来的には「10万円まで上昇してもおかしくない」と識者は語る。
対照的に〝独り負け〟なのが中国株で、中国から逃げ出した資金が日本株にも流入しているようだ。

22日の日経平均の終値は、前日比583円68銭高の3万6546円95銭。約33年11カ月ぶりの高値となった。

新入社員当時にバブル相場を経験した岩井コスモ証券投資調査部の有沢正一部長は「当時の市場は浮かれていたが、
いまは地に足が付いた上昇で、雰囲気は全く異なる。株価収益率や配当利回りなどの指標も過熱感はない。
新NISAのスタートで投資家の裾野が広がっていると感じる」と話す。

武者リサーチ代表の武者陵司氏は「日本株の好調さを支えているのは米国だ。
対中デカップリング(切り離し)のために『強い日本』を必要とし、円安を容認するようになった。
円高で日本から海外に逃げていった工場や資本、ビジネスチャンスや雇用が日本に戻ってきつつある。
企業収益と設備投資も空前の水準になった」と解説する。

2022年末から1年余りの騰落率をみると、日経平均の上昇率は約40%に達した。
米国のダウ工業株30種平均は約15%、ドイツのDAXは約20%上昇したのに対し、
上海総合指数は約11%下落するなど中国株の不振が目立つ。

武者氏は「中国は深刻な経済困難に陥っている。国内ではバブル崩壊と消費の落ち込みによるデフレ化が進行している。
金融緩和が不可欠だが、それは資本流出と人民元売りの圧力を高める。米国の投資家も、中国の独裁恐怖政治の確立や反スパイ法、
バブル崩壊を受けて、対中投資の回収に走り始めた。これが中国株独歩安の原因だ」と分析する。

上海市場では、投資家が低迷する中国株を避けて日本株に資金を振り向けている。
日経平均と連動する上場投資信託(ETF)の一部銘柄の人気が過熱し、一時取引が停止される場面もあった。

市場関係者が気をもむのが11月の米大統領選だ。ドナルド・トランプ前大統領が返り咲いた場合、
政策を大転換する可能性があるためだ。安全保障の面で日本に関連が高いのが台湾政策だが、武者氏はこう分析する。

「次期米大統領が誰であっても台湾放棄の選択肢はない。中国の台湾併合が成功すれば、日韓のシーレーンが中国に支配される。
それは米国が世界の成長センターであるアジアから撤退することを意味し、ドル覇権は崩れ、人民元経済圏が優勢となっていく。
どのような犠牲を払ってでも米国は台湾にコミットせざるを得ない」

今年の大発会から日経平均は3000円超も値上がりした。急ピッチな上昇で、過熱感も警戒される。

有沢氏は「いまのペースで上昇し続けることは考えにくく、年内に3万8000円とみている。
高値を意識しすぎず、年内に〝アレ〟を達成するぐらいに考えておいたほうがいい」と、
昨年38年ぶりに日本一となった阪神タイガースの優勝になぞらえた。

有沢氏はリスク要因として「中国の景気は冷え込み、欧州もあまり景気は良くない。
米大統領選では11月に決着するのかどうかが懸念される」を挙げる。

前出の武者氏は「年内に4万円とみているが、早ければ4月に達成してもおかしくない。
さらに10年後には10万円になる可能性が大きい。
過去の世界平均の株価上昇率は年率10%強であり、そのペースで10年続けば10万円は
決してすっとんきょうな数字とはいえない」との見方を示した。

2024.1/23 11:38
https://www.zakzak.co.jp/article/20240123-BS2EGYWXCJOKNE3LTFGH4M3QBU/