ロシアのウクライナ侵攻から24日で2年となる。ロシアは「主権と領土の一体性」という国際法秩序の根幹を揺るがし、
法の支配を脅かしてきた。
日本はG7(先進7カ国)議長国だったこともあり、殺傷能力のない防衛装備品や民生品を提供し、避難民を受け入れてきた。

第二次大戦後の復興と経済発展や、大規模災害からの復興の経験をもつ日本への期待が大きいことから、東京で19日、
岸田文雄首相とウクライナのデニス・シュミハリ首相が参加して「日・ウクライナ経済復興推進会議」が開催された。
地雷の除去やがれきの処理、農業の生産性向上、電力・交通インフラの整備をはじめ、息の長い支援が期待される。

日本が学んだ安全保障上の教訓もある。ロシアにエネルギー資源を過度に依存してきた国は代替エネルギー確保に苦労した。
NATO(北大西洋条約機構)に未加盟であったウクライナは犠牲を払い、
フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟することとなり、ロシアの西への拡張を阻む同盟が強化された。

日本は、北方領土問題の解決を含む平和条約締結交渉を控えており、サハリンの天然ガス開発問題もあることから、
日米同盟と日本の防衛力強化を基礎に、欧州の教訓を生かしながら粘り強く対応していくことが大切である。

防衛装備品について、日本と英国、イタリアの3カ国で共同開発する次期戦闘機の完成品を日本が第三国に輸出すべきか
政府・自民党と公明党で継続協議となっている。

一昨年末、国際共同開発を政府与党で決めたときは、日本の完成品は第三国への輸出はしない前提になっていたと政府も認める。
昨年、英・伊と協議するなかで方針を変更することになったという。

しかし、昨年7月ごろの各種世論調査では、殺傷能力を持つ武器輸出に「反対および慎重」を合わせた回答が過半から8割を占めた。
今月のNHKの世論調査では、次期戦闘機など他国と共同開発した防衛装備品の第三国輸出に51%が反対、
賛成は31%にすぎない。先週の産経・FNNの世論調査でも防衛装備品の輸出方針について、
反対が27・8%、同盟国・友好国に限るが48・7%となっている。

政府・自民党の方針変更は国民の理解を得られていない。
変更により歯止めがなくなり、ウクライナ支援を含めてこれまで培ってきた平和国家の信頼を損なうのではないか。
十分な説明と理解を深める丁寧な議論をすべきだと公明党は訴えている。

ところで、夕刊フジは創刊55周年を迎えたという。かつての人気CM「オレンジ色のニクい奴!」を思い起こしながら、
ますますのご愛読を請い願う次第である。 (公明党代表・山口那津男)

2024.2/21 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240221-PL4MWIDBTRKL5B42QO2LWQYN2M/