ネット上での共産党批判は暗号でされている。「プーさん」は習近平国家主席と分かるので、
最近は「包子(肉まんじゅう)」とか、「習徳拉(発音はシティラー。ヒトラーに近似)」と表現する。

習氏の周囲にブレーンが不在、いまどき毛沢東とかマルクスの亡霊に取り憑かれている惨状を目撃すると絶望的となる。
かといって、人民解放軍は共産党帰属の軍であって「国軍」ではない。その軍にはクーデターの気力はない。

考えられるのはハッカー軍団の反乱だ。

米国が「サイバー911」と呼称するサイバー戦争。CIA(米中央情報局)や、FBI(連邦捜査局)は、
「世界全体のシステムを破壊するネット上の奇襲を準備する中国、ロシアなどの敵対行為に対して、
西側諸国は準備ができていない」と警告する。

特に、大統領選を控える米国は防戦準備は万端なのか?

防衛戦は「戦争戦術」の1つである。例えば、1月の台湾総統選では、中国からのサイバー攻撃が2倍以上に急増した。
台湾の政府機関や警察、金融機関を標的に、投票日が近づくと、中国政府が支援するハッカー集団なども加勢して、
ソーシャルメディアでフェイクニュースを拡散し続けた。

生成AIを使用して、ユーチューブにはフェイク情報が大量に流れた。台湾の蔡英文総統、頼清徳次期総統らの私生活について、
北京語と広東語で虚偽の内容が拡散された。

米国のセキュリティー専門家は「企業側の防衛意識が低い。民間企業には規制を嫌う風土がある。しかし、サイバー防衛を怠り、
大量の顧客情報が盗み取られたために販売が落ち込み、経営陣が退任に追い込まれた事件も起こっている。
特に規制が緩い日本では、企業の危機意識が低い。企業トップの意識改革が必要だろう」と述べている。

米国には、政府と企業との情報共有ルールを決めた「サイバーセキュリティ情報共有法」がある。EU(欧州連合)では
2025年からデジタル製品を対象に「サイバーレジリエンス法」が適用となる。日本はG7(先進7カ国)の中で
サイバー防衛に一番遅れている。

さて、逆転の発想である。

中国軍のハッカー部隊が習体制打倒を狙い、「サイバークーデター」を起こす可能性は絶無だろうか? =おわり

■宮崎正弘
2024.3/25 06:30
https://www.zakzak.co.jp/article/20240325-JA22S4CCB5PB3N4G4K3NN6NCLM/