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中国のSF小説『三体』は国際的なベストセラーに=北京の書店にて(写真:AP/アフロ)

・ネットフリックスが中国のベストセラーSF小説『三体』をドラマ化。冒頭で文化大革命のシーンを迫力満点で描いている。
・他方、昨年制作された中国の動画配信サービス「テンセントビデオ」版の『三体』には、同様のシーンは一切ない。
・習近平国家主席の独裁化が進むなか、ネトフリ版『三体』から中国の行方を考察する。(JBpress)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 3月21日から配信が始まった中国SF小説の金字塔『三体』の実写版ドラマシリーズ見たさに、
ついにネットフリックスに加入してしまった。
このネトフリ版『三体』に描かれた、キャンパス一杯にあふれかえる学生たちが声をそろえて「革命無罪」と叫ぶ狂気の
「清華大学100日大武闘」の再現ワンシーンは大迫力だ。それを見たらネトフリの加入ボタンを押さずにはいられなかった。

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『三体』は昨年、中国版実写化作品の第1部30話が中国の動画配信サービス「テンセントビデオ」で配信された。
だが、中国版にはこのシーンはない。一方、ネトフリ米国版は最初の5分間が、これでもかと文革の残虐シーンに費やされた。
文革シーンがこれほど丁寧に描かれた意味は結構大きいのではないか。

『三体』は世界20カ国語以上に翻訳され2900万部以上を売った(2019年調べ)世界的大ベストセラーだ。
愛読者にはオバマ元米大統領やメタ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEOや、映画監督のジェームズ・キャメロン氏
といった著名人もいる。

 おそらく少なからぬ世界のSFファン、映像ファンがテンセントの中国版とネトフリの米国版を見比べてやろうと思うことだろう。
特に第3次世界大戦前夜と言われるほど、世の中が不穏な時代の今、『三体』の中に盛り込まれた文明論や抑止力論には、
世界の未来を考える上でなにがしかのヒントが見つかるかもしれない。

 ネトフリ版『三体』の中国人たちの反響を中心に、それを考察してみたい。
若干のネタバレになるかもしれないので、先入観なく小説、映像作品を楽しみたい方はご注意ください。
ー中略ー

・中国の愛国的ネット民、ネトフリ版『三体』に噛みつく
 中国の愛国的ネット民、通称・小粉紅(ピンクちゃん、ネット紅衛兵)たちがまもなく、
一斉に、このネトフリ版をこき下ろし始めた。

「米国人が中国名作SF三体を散々改悪している」
「小説中の文化大革命シーンをわざと大げさに表現して、中国を貶めている」
「ネトフリはこのシーンを世界に発信したいために『三体』を実写化したのだ。皿のため餃子をつくるようなものだ」
「中国が狂暴で野蛮な社会で、それを米国ら西側が救済してやる、というストーリーを発信したいのだ」
「中国版実写化VSネトフリ版では完全に中国版の勝利だ」

 さらには黒人俳優のジョバン・アデポの写真に「綿摘み」といったコメントをつけるなど人種差別的な攻撃もおきた。
また、葉文潔役にザイン・ツェンを起用したことについて「欧米人の中国人イメージである三白眼、頬骨の高い顔の邪悪相を選び、
中国人イメージを貶めようとしている」と批判するものもあった。

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ネットフリックス版『三体』(写真:Everett Collection/アフロ)

 中国でネトフリは見ることができない。もし見たとしたらVPNをかませてアクセスしたわけだが、今の中国ではそれは違法行為。
だからこうした反応が一斉におきたのは、実際にネトフリ版を見ての素直な感想というより、一種の政治的アクションだろう。
ー後略ー

全文はソースから
JBppress 2024.3.29(金)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80208