岸田文雄首相は4月9日午前、羽田空港を政府専用機で米ワシントンに向けて発(た)つ。

国賓待遇での訪米である。岸田氏に上川陽子外相、盛山正仁文部科学相、村井英樹官房副長官、
秋葉剛男国家安全保障局長らが随行する。

首相同行団には船越健裕外務審議官(政務)、有馬裕北米局長、保坂伸経済産業審議官、松尾剛彦通商政策局長、芹澤清防衛審議官、
加野幸司防衛政策局長、増子宏文部科学審議官、千原由幸研究開発局長らが名前を連ねる。
その他、岸田側近の嶋田隆首相首席秘書官も同行する。

異例だが、首相最側近の木原誠二自民党幹事長代理が同行者リストにあるとされる。

10日にホワイトハウスで行われる日米首脳会談は、ジョー・バイデン大統領とのテタテ会合(通訳のみ)、
日米少人数会合、同拡大会合の3形式である。
岸田・バイデン会談の注目すべきポイントは2つ。それは会談後に発表される日米共同声明に盛り込まれる。

その(1):東アジア情勢が緊迫化する中で、自衛隊と米軍の連携強化のため在日米軍の司令部機能強化・再編で合意をみる。
「台湾有事」と「朝鮮半島有事」が念頭にある。

平たく言えば、米韓連合司令部(ラカメラ司令官・陸軍大将)並みに、在日米軍司令部(ラップ司令官=空軍中将)に
強い権限を与える。具体的には在日米軍トップに四つ星(大将)を据えるということだ。
検討されているのは米太平洋艦隊司令官(海軍大将)の在日米軍司令官兼務案である。

その(2):首相訪米に文科相および同省幹部の同行で分かるように、日米協力の月面探査プロジェクト推進で合意をみる。

米NASA(航空宇宙局・ネルソン長官)が推進してきた有人月面探査「アルテミス計画」がそれだ。
昨年1月の首相訪米に同行した林芳正外相(当時・現官房長官)とブリンケン国務長官が日米宇宙協力に関する枠組み協定に
署名したのが起点だった。

今回は盛山文科相とネルソン長官が月面活動内容を盛り込んだ文書に署名する。
〝売り〟は、日本人男女の飛行士2人を米国人飛行士と月面に着陸させることだ。
日米連携「ムーンウォーク」を2026年9月までに実現させると意気込む。

実現の暁の映像中継は国民を釘(くぎ)付けにする大イベントだ。岸田氏には久しぶりの〝ちょっと良い話〟ではないか。
だが、筆者の関心事はそれではない。仮に木原氏が同行する場合、プロトコル(外交儀礼)上の肩書をどうするのか。
日米両政府の公式行事に、政府無役の同氏は出席できるのか。 (ジャーナリスト 歳川隆雄)

2024.4/2 11:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240402-4VQSLHH5YZIUJJHTLANTJOIKH4/