・不透明な政策決定過程
中国国営企業のロゴマーク問題が、河野太郎氏を直撃している。
河野氏は、再生可能エネルギーに関する内閣府のTFに提出された資料を作成した「自然エネルギー財団」の大林ミカ事業局長の
起用について、「特に問題があったということではない」と語っているが、問題は河野氏自身ではないのか。

自然エネルギー財団と中国との接点については、すでに多くが報じられているので、繰り返さない。

ここで指摘したいのは、政策決定過程の不透明さだ。

問題のロゴマーク入り資料が提出されたのは、再生可能エネルギー関連の規制を見直す内閣府のTFだった。だが、その提言は、
規制改革推進会議の答申に採用されていた。

これがなぜ、おかしいか。

規制改革推進会議は法律に基づいて設置されている会議体だ。
首相の諮問を受けて、民間人が議論を重ね、改革すべき点を答申している。

一方、再生エネルギーのTFは規制改革担当相である河野氏が「大臣決定」で設置している。
そうであれば、TFの提言は本来、大臣に提出すればいい話なのだ。

ところが、TFの提言は規制改革推進会議の答申に盛り込まれた。
その結果、提言は一閣僚の検討案件ではなく、岸田文雄政権の政策課題になった。
法律が定めた「首相の諮問に基づく答申」という手続きを無視して、大臣の個人的案件が一挙に首相に届いてしまったのだ。

そんな荒業を大林氏ができるわけもない。これは「河野氏の問題」である。

具体的に指摘しよう。

規制改革推進会議は2023年12月、タクシーの規制緩和などの改革案を、中間答申として首相に提出した。
答申の末尾で「参考」として「蓄電池の認証手続き見直し」や「送配電設備の整備に関する取り扱いの明確化」を挙げた。
これはTFの提案なのだ。

・「裏口から動かす」荒業
私はかつて、安倍晋三政権時代に規制改革会議の委員として答申をまとめた経験があるが、その中身は当然、
すべて会議で議論された内容ばかりだ。会議で議論しなかった問題を答申に盛り込むなど、あり得ない話である。

では、推進会議はTFの提言が答申に盛り込まれるのを了承していたのかと言えば、その形跡もない。
23年には全体会議が2回開かれているが、議事録を見る限り、議論した様子はない。
首相が諮問したのか、と言えば、そんな発言も見当たらない。

答申だけではない。

TF提言の一部は、すでに閣議決定された規制改革実施計画にも採用されている。
例えば、23年には国土交通省が電気自動車用充電器の道路占用許可基準を見直して、ガイドラインを作成した件がそうだ。
河野氏も「TFでまとめたものが閣議決定されている」と認めている。

百歩譲って、閣議決定は閣僚の責任で可能だとしても、規制改革の政策決定プロセスが歪(ゆが)められた疑いは残る。

そもそも、そんなに改革したければ、なぜ大林氏をTFではなく、規制改革推進会議の委員にしなかったのか。
これでは、「裏口から政府の政策を動かそうとした」と批判されても、仕方がない。

河野氏は「海外から不当な影響力を行使される可能性があったかどうか、しっかり調査したい」と言っている。
つい、だまされそうになるが「不当な」は余計だ。不当かどうかに関係なく「影響力を行使される可能性があったかどうか」
が問題なのだ。

それとも、河野氏は中国に影響力を行使されても、「自分は不当と思わない」とでも言うつもりなのだろうか。
そうだとしたら「何をか言わんや」である。

マスコミは、よく河野氏の「突破力」を持ち上げる。だが、暴走した揚げ句、
「中国を利して日本の国益を害していた」のだとしたら、河野氏の政治生命に関わるだろう。
■長谷川幸洋

全文はソースから
2024.4/7 10:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240407-HQ7J3ZHGERLSBORFVTUURXP2CI/