中国・明王朝の復興を目指し、台湾をオランダの支配から解放した 鄭成功ていせいこう (1624~62年)の
新たな分霊 廟びょう が、生誕地の長崎県平戸市に完成した。生誕400年に向け、市が移転新築した。
鄭成功は、台湾などで民族的英雄として崇拝されており、市は観光客の増加につなげたい考えだ。

 鄭成功は、平戸を拠点とした中国人海商・ 芝龍しりゅう と平戸の女性・田川マツとの間に生まれた。
同市・平戸島の千里ヶ浜には出生地とされる「鄭成功 児誕石じたんせき 」があり、近くには県史跡「鄭成功居宅跡」などがある。
分霊廟は1962年、台湾の協力を得て、居宅跡近くに建立された。

 市は生誕400年を見据え、老朽化した分霊廟の建て替えを計画。台湾や地元などから約240万円が寄付され、
観光客が周遊しやすいよう居宅跡に新築した。

 オープニングセレモニーが14日に開かれ、鄭成功像などが古い分霊廟から移された。黒田成彦市長はあいさつで、
台湾東部・花蓮沖を震源とする地震の犠牲者に哀悼の意を表した上で、
「分霊廟の完成は多くの皆様の支援、協力のたまもの。国際交流、周遊観光の核として活用を図りたい」とあいさつした。

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 地元では今後も関連イベントが相次ぐ。7月には台湾から鄭成功の子孫らを招き、鄭成功記念館前で生誕400年祭が開催される。
8月には平戸市の松浦史料博物館が、鄭成功や東アジアの歴史、交易に詳しい日台の専門家らによるシンポジウムを開く予定。

◆ 鄭成功 =平戸で生まれた後、7歳の時に海を渡り、南京大学で学んだ。明滅亡後、満州族による王朝・清に抵抗して
明を復興する「抗清復明」を目指したが敗北。オランダに支配されていた台湾を攻略して解放した。
近松門左衛門の浄瑠璃「 国性爺合戦こくせんやかっせん 」のモデルとしても知られる。

2024/04/18 11:52
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