「世界最強の海軍」は、11隻の原子力空母を擁する米海軍であることに疑いはない。ただし「世界最大の海軍」の座はすでに中国海軍が奪取している。その規模拡大を支えるのが、世界市場で覇権を握りつつある中国の造船業界だ。中国の造船能力は今や米国の「230倍超」とされる。生産力の格差により、台湾有事などの戦時には艦艇の新造・修復のペースで中国が米国を圧倒するとの危機感が米国内で高まっている。

中国の国有造船最大手「中国船舶集団」は4月29日、国営カタールエナジーから超大型液化天然ガス(LNG)輸送船18隻の建造を受注したと発表した。契約総額は約60億ドル(約9300億円)。単独では世界最大の造船契約という。高度な技術が要求されるLNG輸送船の建造において「わが国は国際的な影響力をさらに高めるだろう」(共産党機関紙・人民日報)と中国側は胸を張る。

国連貿易開発会議によると、世界の造船市場シェアは2022年時点で中国が46・6%とトップ。韓国29・2%、日本17・3%と続き、米国は0・1%に過ぎない。米海軍情報局のデータによると、中国の造船能力は米国の232倍に達する。こうした量的優位が、いずれ質の優位につながることは想像に難くない。

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産経新聞 2024/5/13 18:06
https://www.sankei.com/article/20240513-RZVVKDWZLBIJFNL22GBI4R2X6M/