0001昆虫図鑑 ★
2024/05/14(火) 08:22:53.01ID:FAgEJthT全国人民代表大会(3月5日〜11日)を終えた後、習近平政権が、外交を活発化させている。その主なものは、以下の通りだ。
(略)
このように、これまで「戦狼外交」(狼のように戦う外交)と揶揄(やゆ)されてきた習近平政権が、突然、微笑みの「パンダ外交」を始めたのだ。
この背景には、一体何があるのか? 考えられるのは、以下の2点だ。
(1)これ以上の中国経済の悪化を食い止める
(2)来年1月の第2期ドナルド・トランプ政権発足に備える
中国人は「中国経済の好調」を信じていない
(1)に関しては、中国の官製ニュースだけを見ていると、中国経済はいつも絶好調だ。だが、来日する中国人に話を聞くと、「経済がよくなってきた」「景気が上向き始めた」と言う人は皆無である。
国家統計局などが発表している「公式統計」を見ても、以下のように、とてもほめられるものではない。
・第1四半期(1月〜3月)の主力の国有企業の全国規模以上工業企業利潤は、前年同期比(以下同)−2.6%。
・3月の貿易額は−5.1%(輸出−7.5%、輸入−1.9%)。
・3月の住民消費価格(CPI)は+0.1%。
・2月の若年層(16〜24歳)失業率は15.3%。
・第1四半期の全国不動産開発投資は−9.5%。うち住宅投資は−10.5%。
・第1四半期の商品家屋販売額は−27.6%。うち住宅販売額は−30.7%。
・第1四半期の不動産開発企業の手元資金は−26.0%。
・3月の70大中都市中古住宅販売価格は、前月比で+1都市、−69都市。
このように、中国経済には、いまだ「晴れ間」が見えない。もしもこの先も、「ほしいがままの戦狼外交」を強引に推し進めたなら、習近平政権のスローガンである「中華民族の偉大なる復興という中国の夢の実現」は、さらに遠のいてしまうに違いない。
そこで、微笑みの「パンダ外交」に転じたことが考えられる。日本にとっても世界にとっても、ベターな選択だ。
中国にとって望ましいのは「バイデン大統領」
(2)に関しては、11月5日のアメリカ大統領選挙まで半年を切った現在、世界は「マチトラ」(トランプを待っている)の国と、「コワトラ」(トランプを恐がっている)の国に二分されてきているように思える。
「マチトラ」の指導者の筆頭は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長や、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、ハンガリーのオルバン首相らだ。強権的な指導者に多い。
逆に、「コワトラ」の筆頭は、ドイツのショルツ首相、フランスのマクロン大統領、そしておそらくは、日本の岸田文雄首相もそうだろう。先月の岸田首相の訪米は、「トランプ対策」をバイデン大統領と練る一面もあった。こちらは先進国や、民主国家のリーダーに多いのが特徴だ。
こうした分類に従うなら、中国は強権的な国なので、一見すると「マチトラ」かと思える。ところが中国人の誰に聞いても、「それは『老いぼれバイデン』がこのまま続けてくれた方がいい」と言う。
トランプ復権は「悪夢」
思えば習近平政権は、多分に予定調和的な社会主義政権である。年間のGDP成長率も、3月に全国人民代表大会で決めて、そのラインに沿って実行していく。もっと長い5カ年計画もある。
そんな習近平政権にとって、「予測不可能」なことでは他に例を見ないトランプ大統領の復権は、「悪夢」と言えるだろう。サイコロはいまよりもいい方向に振られるかもしれないが、悪い方向に振られるかもしれない。そんなロシアンルーレットのような国際環境は、まっぴらごめんなのだ。
もしも悪い方向に振られた場合(かつその方が確率は高そうだが)、いまの脆弱な中国経済では、ぺシャンとなってしまうかもしれない。
というわけで、今月下旬に日中韓サミットが開かれたなら、ヒンヤリした日中関係も、少しは「雪解け」になるかもしれない。日本の経済界は、「中国へのビザなし渡航解禁」に期待をかけている。
近藤大介
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80973