「……ほらよ、酒だ」

酒場のマスターはそう言って、テーブルに脚を投げ出す俺に文句もつけず、テキーラを差し出した。

俺はキシキシと軋む古びた椅子に背を預けながら、おもむろにテキーラに手を伸ばすと、その酒を一息に煽る。

途端に俺の喉がカッと熱くなる。
喉を焼くテキーラのその芳醇な香りを味わいながら、俺はショットグラスを、タンとテーブルに置いた。

俺は続けて、マスターに言葉を投げる。

「マスター! 次はストレートをくれ」

酒場のマスターは俺を一瞥し、「あいよ」とぞんざいな返事をしながら、次の酒を注ぐ為にカウンターに向き直った。