■「幻創戦艦・大和」を敵として登場させることについて

「幻創種」と言うのは人の恐れや想像にエーテルが反応して具現化したものです。
『PSO2』において「地球」を舞台にし、「東京」を登場させると決めた際に、レイドボスを何にするか、という議論がありました。

その中では歴史上の人物や巨大な建造物など、いろいろな意見がありましたが、酒井には日本人にとって時を超えて大きな存在である「戦艦大和」の姿を借りた「幻創戦艦・大和」以外には考えられませんでした。

アクションゲームにおいて、敵キャラクター=エネミーはすべてのプレイヤーが接する存在であります。
その中でも12人で倒す緊急クエスト用のレイドボスというのは『PSO2』においてはエネミーの中でもより大きな扱いとなる、
普通のゲームであれば、「ラスボス」のようなものです。

「恐れや想像を具現化する」幻創種の集大成として、現在においても多くの人の憧れや畏怖の象徴であり、強大な力をもつ「幻創戦艦・大和」は適役と思います。

男の子は「強いものと戦いたい」と思うのは共通心理ではないでしょうか?
最強の戦艦と戦うのは夢の一つでしょうし、さらに「A.I.S」というロボットに乗って空中戦を繰り広げるなんて、
真面目な歴史ゲームや、ファンタジーゲームにはできないことで、なんでもありのSFゲームの世界でしか、『PSO2』でしかできないことです。だからこそ、「幻創戦艦・大和」を登場させたい、と思ったのです。

一方、まったく新たな姿とはいえ、「大和」という名称を含む敵と戦うことに対して抵抗感があるというご意見も頂戴しております。

上にも書いていますとおり、ゲーム中に登場する「幻創戦艦・大和」も零戦も乗組員は存在しませんし、ガワだけを模したいわばレプリカや巨大な模型に近いものです。攻撃も常識では考えられないものですし、別の新たな物、という認識で開発をしております。

ゲームは幅広いエンターテイメントです。戦争についての問題や、歴史の重さを受け止めつつ、今回のエネミー化をエンターテイメントにおける表現の一つとして許容いただければ幸いです。

■酒井自身の「大和」への想いについて

大阪での感謝祭の生放送で無駄に熱く語ってしまった通り、酒井は本当に「大和」が大好きです。

酒井自身が、初めて大和に触れたのは「宇宙戦艦」の方だったかと思います。
当時我が家に一緒に住んでいた叔父が「ウォーターラインシリーズ」という軍艦プラモデルを数十隻作っており、
叔父が家を出た後、これを引き継いで毎週のようにプラモ屋さんに行っては、軍艦プラモを買って作る毎日でした。
中でも大好きだったのは「戦艦大和」でした。

大和の他の軍艦とは一線を画すその機能的で美しい構造物とデザイン。
大鑑巨砲主義の最中、日本軍の希望として作られたのにもかかわらず、満足な働きをすることなく、沖縄への水上特攻により、その巨体を海中に没することとなった悲劇の戦艦。

しかしなにより、巨大で子ども心にも本当にかっこ良いその姿は、今昔を問わず男の子にとっての永遠の憧れではないでしょうか?