ダニング=クルーガー効果とは、能力の低い人物が自らの容姿や発言・行動などについて、実際よりも高い評価を行ってしまう優越の錯覚を生み出す認知バイアス。
この現象は、人間が自分自身の不適格性を認識すること(メタ認知)ができないことによって生じる。
1999年にこの効果を策定したコーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーは、「優越の錯覚を生み出す認知バイアスは、能力の高い人物の場合は外部(=他人)に対する過小評価に起因している。
一方で、能力の低い人物の場合は内部(=自身)に対する過大評価に起因している。」と述べている。

優越の錯覚を生み出す心理学的現象は研究によって、自らの能力の低さを認識することの困難さが過剰な自己評価につながる、認知バイアスの一形態であると認識された。
なぜ人間は自身の不得意を認識できないのかといった認知的不協和に関する調査は、与えられた活動の評価基準の無知に由来する自己評価の誤りの多さを示している。
自身の能力に対する過大評価の傾向は、読解や診療、自動車の運転、チェスやテニスの試合など様々な場面で見られた。
また、この効果を策定したデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって2012年に行われた「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」という調査によれば、能力の低い人間は以下のような特徴があることが分かった。

・自身の能力が不足していることを認識できない
・自身の能力の不十分さの程度を認識できない
・他者の能力を正確に推定できない
・その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる。

2005年に執筆された自身の著書「Self-insight」の中で、ダニングは自己認識欠損の類推を「日常生活の病態失認」に適用し、身体障害者が自身の身体能力の不全を否定、或いは認識しないといった認知バイアスが存在することを発見した。

「あなたが無能なら、あなたは自分が無能であることを知ることはできない。正しい答えを生み出すために必要なスキルは、正解が何であるかを認識するために必要なスキルと同じである。」