「んっ!木村!焼ける!!」
「アイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!」

「!」
「どう?木村!」
「…駄目だ。今回も"もんじゃ"だ」
「………そうか」


幾度とない料理人修行により、何度もお好み焼きを焼いた酒井。
しかし、食材を労らない過剰な破砕によって酒井は失敗を繰り返した。
木村の一喝が酒井の鼓膜に激突した衝撃でバラバラになったお好み焼きの生姜や豚肉やキャベツが、
卵黄と小麦粉に包まれてどんぶりから流れ出てきた。
グチャグチャの具材が無造作に混在するそれは、"お好み焼き"というよりは、まるで"もんじゃ"であった。

14度目の修行を終えた酒井は、おもむろに"もんじゃ"をかき集め、
両手で掬い、傍にあったバケツに入れていく。
そして、熱した鉄板の上でバケツを傾けた。
"バケツもんじゃ"の香ばしい匂いが立ち込める。

「食べよ、木村」

懺悔と"いただきます"を兼ねた合掌の後、"失敗作"に箸を伸ばす酒井。
自信を失った酒井の痛ましい姿に、木村は勃起が収まらなかったという。