『英雄アンドゥにまつわる伝説』

伝承の中で、アンドゥの生涯は数多くの武勇伝と華々しい栄誉、そしていくつかの謎に彩られている
アンドゥの活躍については細かな違いこそあれどその筋書きは概ね定まっている一方で
アンドゥ個人に関わる情報はそれぞれの伝承の中で大きく食い違っている
またアンドゥの出生や出身地、晩年の様子については詳しく描写された伝承はほとんどない

しかしダークブラスト病が蔓延した折りに恐怖とともに民衆に広まった噂や迷信の中には次のようなものがあった

アンドゥは英雄として闇の存在に挑み、封印には成功したものの自らも傷を負った
肉体を蝕まれたアンドゥの姿は昆虫のように変わり、その精神もまた闇の存在に乗っ取られ徐々に自分を失っていった
アンドゥは絶望にとらわれ、あるいは当時の権力者に追われるようにして、いずことも知れぬ場所へ姿を消した
そしてダークブラスト病とはこの伝説の中で語られる闇の存在の力を利用して国王が作り上げたものなのだという

現在のダークブラスト病には精神的な症状は確認されていない
しかしこの病が発生してから月日が浅いため、長期的な罹患者の症状がどのように推移するかはまだ分かっていない

このようなおとぎ話じみた噂が広まったのは、ダークブラスト病から逃れるため国を去ることを選んだ多くの国民が
自分たちの境遇を愛する英雄アンドゥの最後に重ね合わせることで、せめてもの心の安らぎを得ようとしたためであろう

アンドゥは病を得、アンドゥは国を去る
彼方へ去りし英雄よ
安らかに眠りたまえ、癒えぬ病なれば