酒井はその日も変わらず、コムラッピーの肉塊に包まれ、国民からのプラスのパワーを受け取っていた。
悪政を敷き、暗君として院政に追いやられた酒井には、もはや誰からも愛されることはない。
しかしこの愛らしい母体に包まれている間に限り、国王は一個の偶像として衆目を集めることが許されるのだ。

「わいの人気はうなぎのぼりっきゅね〜! これでまたレイヤーとオフパコできるっきゅ!」

齢50を過ぎて尚も、国王としての世継ぎ作りに余念はない。
コムラッピーの子宮の中で、酒井は再起する基盤を着々と構築していた。

「なんだこれぇ!? わいのなりすましっきゅね〜? 許さないっきゅ!」

その愛くるしい独特の口調により、方々に人気を博したコムラッピーであったが、同時にそれは類似の模造品を量産するのとも意味していた。
衝動的に自らに成り済ました国民を封殺するよう命令を下した酒井であったが、報告された成り済まし文には最後に小さく〈サカイ〉の文字があった。
その一文があったがために、決して明るみにならない筈であった国王の擬態が今、国民の中で不和の空気と共に疑われ出したのだ。
国中のあちこちで、コムラッピーの正体がかの邪智暴虐な国王なのではないかと、日を追うごとに疑惑は強くなっていく。

「ここに居たのか!」

古びたパソナルームと呼ばれた一室の扉を蹴飛ばし、その者は叫んだ。
羊水に撹拌されていても、その声を忘れたことなど一度もない。

「ん!! 木村! じゃない、木村Dっきゅねー♪ どうしたのっきゅ?」

「うるせーぞトロマン!」

激しく胎盤が振動する。
木村の25センチ砲が、コムラッピーの子宮の中に鎮座する酒井の肛門を貫いたからだ。

「おら! きゅっきゅって締め付けるんだよ! 」

「アイイイィィィィイイ! やめるっきゅ! 木村D! 産まれちゃうっきゅ!」

あくまでコムラッピーとして自分と接する酒井に、木村は少し寂しそうな顔を浮かべた。
自らの生殖器をコムラッピーの子宮から抜き去り、何も言わないでいる。

「はぁはぁ、木村? なんで途中でやめるっきゅ?」

「オレに畜生を犯す趣味はねぇ、今のお前は畜生かそれ以下だ」

貫かれたばかりの酒井の菊門はヒクヒクと疼く。
酒井は新たなマゾヒステリックな狂気を、コムラッピーの中で胎動させていた。
酒井ははたと気がついたのだ。
コムラッピーの殻を纏ったのは、自分が大衆の罵詈雑言に耐えられなかったからではなかったのだ。
国中からの言葉責めに酒井のマゾっ気がNGS化する寸前だったのだ。

「行けよトロマン、お前の新生した姿を見せてやれ」

「アイイイイイイイッ!!!」

酒井覚醒、眠っていた肉欲が火を吹く。
コムラッピーの子宮口をバズーカで撃ち抜き、硝煙の中から一人の男が絶叫する。

「かっこいいだろおおおおおお!!!」

完全覚醒した酒井にはもはや肉壁は必要ない、
迫り来る全ての罵詈雑言に肛門をひくつかせるその姿は、

「神か、悪魔か・・・」

木村はこの日初めて酒井の中の可能性に恐怖した。