本物のジャズを聴いたことのないやつがジャズを語る時代になったか

たとえばビリー・ホリディ 1933年に18歳当時の録音がある
でも、それはあくまでも録音だ 生のステージがどれほどよかったか
自分は1946年、つまり、第2次世界大戦が終わってヨーロッパ戦線から帰国したときに
ビリーの歌を聴いて、とても気分が高揚し、楽しくて仕方がなかった
「おかえり。これからは人生をエンジョイしよう」というメッセージと受け止めた

後年、ビジネスで成功し、ビリーのレコードを買い漁った
でも、音質以前に、復員当時の感動はついに得られなかった

現代のデジタル加工された音源と、チープな再生機器で
若き頃のビリーと、けっしてオーディオマニアでも音楽ファンでもない一市民の間に
生まれた感動をよみがえらせることはできない

なるほど、山田康夫の代わりの栗田寛一のルパンはみごとだ
でも、どんなにうまくコピーしても、摩耗は避けられない
複製を繰り返しているうちにどんどん劣化してしまう

何より、その時代でしか味わえない感動を何十年も経過して再現させることは不可能
アグネス・ラムのビキニ姿のポスターより、百花繚乱のAVのほうがいいとは思えない
今の時代にマリリン・モンローはいない 世界中探しても1人もいない
ケネディはマリリンを愛人にしたが、トランプはポルノスターを愛人にした
この差こそ、55年前と現代の感動や興奮の大きな差のシンボルだ
世間体を気にして、裏でこそこそと職業愛人を作る大統領(クリントンなど)