新菌種の「ブルセラ症」、64歳男性が腎機能不全に

5/16(水) 8:18配信

産経新聞

 長野県在住の男性(64)が、人獣感染症「ブルセラ症」に感染し、腎機能不全になる重い症状に
なっていたことが15日、国立感染症研究所への取材で分かった。感染研が調べたところ、
国内外に存在しない新種の菌であることが判明。家畜によるブルセラ症の菌は海外から持ち込まれる
が、男性に渡航歴はなく、感染研などは感染源や経路などを調べている。

 感染研などによると、男性はかつてトラック運送業に従事し、現在は無職。自宅は長野県内の
山奥にあり、海外へ行ったことはなく、猫や鶏を飼育しているという。

 男性は昨年4月上旬ごろ食欲不振に陥り、39度を超える高熱が1週間続いた。2カ月後には
腎機能が急速に悪化し、急性腎障害による尿毒症の診断で入院し、血液透析などを行った。治療後も

腎機能は回復せず、現在も透析治療を受けているという。

 感染研は、病院から男性の検体の送付を受けて診断。これまでに報告されていないブルセラ症の
新しい菌種であることが分かった。感染経路を特定するため、男性への聞き取りのほか、自宅周辺の
土壌や鶏糞などを採取して調べたが、ブルセラ菌は検出されなかった。

 ただ、菌の遺伝子解析で、宿主がネズミなどの齧歯(げっし)目に近いことも判明。感染した
ネズミなどと男性が接触した可能性もあるという。感染研の担当者は「特異な事例であり、
一般の人が心配するような感染例ではない」と説明した。