>>378
カットオフ角周波数がω0 でクォリティファクターが Q0 である
2次 LPF の伝達関数 HLPF(s) は
HLPF(s)=(ω0^2)/(ω0^2+(ω0/Q0)s+s^2)
同様に2次 HPF の伝達関数 HHPF(s) は
HHPF(s)=(s^2)/(ω0^2+(ω0/Q0)s+s^2)
ω0 と Q0 が同じ2次 LPF と2次 HPF の出力を加算すると、伝達関数は HLPF(s)+HHPF(s) で、
HLPF(s)+HHPF(s)=(ω0^2+s^2)/(ω0^2+(ω0/Q0)s+s^2)
となる。
これは2次ノッチフィルタの伝達関数で、
角周波数がω0 、つまり s=jω0 のとき出力が 0 となる。

2 way スピーカーの場合これでは困るので、逆相接続として
HLPF(s)-HHPF(s)=(ω0^2-s^2)/(ω0^2+(ω0/Q0)s+s^2)
とする。
ここで Q0=1/2 なら
HLPF(s)-HHPF(s)=(ω0^2-s^2)/(ω0^2+2ω0s+s^2)
=(ω0+s)(ω0-s)/(ω0+s)^2
=(ω0-s)/(ω0+s)
となり、1次オールパスフィルタの伝達関数となる。
つまり周波数に対し振幅は一定だが位相が 180 °回転する。

しかし 3 way としてミッドレンジ
HBPF(s)=(ω0/Q0)s/(ω0^2+(ω0/Q0)s+s^2)
を追加すると、当然ながら
HLPF(s)+HBPF(s)+HHPF(s)=1
となり、伝達関数1、つまり振幅・位相ともにフラットが実現する。
HBPF(s) は簡単に言えば上下とも 6 dB/oct. のバンドパスフィルタである。
また HLPF(s)+HBPF(s)+HHPF(s)=1 でわかるようにすべて正相接続である。
この場合 Q0=1/2 である必要はないが、 Q0 があまり大きいと実用上厄介である。
また Q0 が小さいほどミッドレンジの帯域が広くなる。