そういえば2年ほど前、M社長が著したという「オーディオマニアが頼りにする本」という本を頂いたことがあり、
中をペラペラと捲って仰天した事があります。とにかく実名こそ挙げないまでもお客さんをコキ下ろし(まくる)
とでも言うべき箇所が何箇所もあって、一番最初は
「こんなユーザーを馬鹿にした本に値段が付いて売られている事自体が信じられない!著者も著者なら出版社も出版社だ!」と
途中でブン投げた事があります。

要は非常に悪い印象を持っていた訳です。私のとってのオーディオとは料理の如き無限のアプローチがあって、
全てに価値がありユーザー自身が満足出来る境地が得られればそれでOK,貴賎や良否の価値観は排除すべきというのが
前提にあるのですが、M社長の論点は極めて明解で、例えば
「この時代になってもまだ、球の音には音楽性があると信じ込まされている人々がかなりおられるようだ。
技術と、部品が進歩しているのに、昔の球の方がよいといったり、SPレコードの方が音楽性があると
考えている人のことを時代錯誤という(著書より) 」
と主張しておられます。

私にも主義主張がありますが、Mさんの完全なまでの言い切りに寧ろ安心したような気持ちに
なられた方も多かったのかもしれません。

 今のようにモノが氾濫し、オーディオにおいては半ば神掛かった迷信がさも本当のように跋扈し、
恐山のイタコ宜しくユーザーを煽動し混迷に陥れる恐れのあるモノ売りがしばしば見かけられます。
要は何を買っていいのか、何を選べばいいのか全く分らない。そんな中でMさんは言葉こそ辛辣で
一見横柄に見えても「泥沼に嵌るな、私について来なさい」というメッセージを残されたのかも知れません。
笑みすら浮かべM社長の武勇伝(?)を語る方のお話を伺いながらそんな風に思いました。