西欧の国家が、文明的にははるかに進んでいた中国やイスラムをしのいだ最大の原因は、
その軍事力だった。帝国の君主によって戦争のときだけ雇われる兵士(soldierの語源は
「傭兵」)の士気は低く、戦闘になると逃げる兵士も多かった。これに対して近代国家では、
財産権をもつ市民は自分の土地である国土を守る強いインセンティブをもつ。彼らは歩兵
として積極的に戦争に参加し、規律・訓練によって殺人技術を発達させる。