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【連載】適菜収 死ぬ前に後悔しない読書術
〈第14回〉なぜ人間はくだらないものを読むのか
哲学者・適菜収が「人生を確実に変える読書術」の極意を語る!  2016年04月21日

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 最上の本と最低の本の値段はほとんど変わりません。そこが本のすごさです。たとえば、一流のレストランとマクドナルドの値段は違います。一流のレストランは当然高いし、マクドナルドは当然安い。

 もし一流のレストランとマクドナルドが横に並んでいて、同じ値段だったとしたら、どちらに入るか? 普通だったら一流のレストランに入りますよね。私ならそうします。しかし、そうではない人もいる。

 バカは同じ金額を払って、最低のものを選ぶ。それと同じことが発生しているのが本です。

 逆に言えば、最上のものが数百円で手に入るのです。ゲーテの『ファウスト』は、世界最高の頭脳が集まり一〇〇億円かけようが、一〇〇〇億円かけようが、二度と生み出すことはできない。

『ファウスト』 二四歳で書き始め、死の前年、八二 歳で書き終えた、ゲーテの全生涯を かけた大作。絶望した大学者ファウ ストの悲劇とその中から生まれる 人類愛を描いた。
 クーポンを使って節約とかコスパがどうこうとかくだらないことを言っている暇があるなら、古典を読めば一発で元をとれます。ゲーテは言います。

 人はあまりにもつまらぬものを読みすぎているよ。(中略)時間を浪費するだけで、何も得るところがない。そもそも人は、いつも驚嘆するものだけを読むべきだ。(『ゲーテとの対話』)